2012年06月02日13時20分掲載
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http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201206021320426
欧州
ノルウェイの連続テロ犯 デンマークの移民政策を賞賛
昨年7月、ノルウェイの首都オスロで与党・労働党の集会などを狙った連続テロ事件が起きたのを覚えている人は多いだろう。死者は合計で77人に及んだ。その犯人、アンネシュ・ブレイビク被告(Anders Breivik, 33)はイスラムとの対決を思想信条としており、犯行に及んだ動機が移民を受け入れるノルウェイ政府の移民政策にあったとされる。その公判がオスロで行われている。
たまたま筆者は隣国デンマークに滞在していた時、その記事を目にした。コペンハーゲンポスト(4月27日−5月3日号)である。記事によると、ブレイビク被告はノルウェイの移民政策がせめてデンマーク並みだったら自分は犯行に走らなかっただろう、と発言したとされる。デンマークには外国人受け入れや外国文化の流入に対して、一定の厳格さがあるということが彼の発言の趣旨のようだ。そして、デンマークが移民に由来するイスラムと西欧との戦いにおいてリーダーになると彼は指摘しているそうだ。筆者はデンマークとノルウェイの当該政策の違いは詳しくないので記事の紹介にとどめておきたい。
■コペンハーゲンポスト
http://www.cphpost.dk/news/international/terrorist-breivik-invokes-denmark%E2%80%99s-immigration-policies-his-defence
’Mass murderer Anders Breivik told an Oslo court today that if Norway would have adopted a “Danish level” of cultural and immigration policies, he would never have committed his massacre.’
1997年創刊、コペンハーゲンで発行されている英字新聞である。ちなみにデンマークでは英語を話す人の割合が相当高い。
■ノルウェー連続テロ 過熱報道に批判の声
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120422/erp12042210300004-n1.htm
■外務省「デンマーク王国」より
「人道主義の観点から、長年にわたって毎年数千人の難民を受け入れてきていたが、2001年11月以降の自由党・保守党連立政権(デンマーク国民党が閣外協力)が難民・移民の厳しい規制強化を行った。しかし、2011年10月、中道左派の新政権が発足したことにより、難民・移民政策については、家族呼び寄せや難民受入の面などにおいて対応が若干軟化しつつある。さらに、同政権は移民難民統合省を廃止し、かつて同省が担っていた政策を司法省、社会省、雇用省等に移管させる等、前政権下とは違った対応を見せつつある。」
ブレイビク被告が賛美しているデンマークは前政権を指すのだろう。犯行が行われた昨年7月の時点ではデンマーク政府はまだ前政権だったからだ。
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