2012年06月12日01時11分掲載
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コラム
外国のテレビと滋養 村上良太
外国のテレビについて考えようとすると、反射的に思い浮かぶのは昔お世話になった制作会社の社長の話だ。アメリカに旅行した時、ホテルから一歩も出ず、朝から晩までテレビ三昧だったという。誇張はあるだろうが、真実に近い気がする。他国の放送で面白いものがあればアイデアをいただこうという腹なのだ。そのため外国に旅行しながら、ホテルに籠るという・・・。
それはそれで熱心なことだが(実は僕もそれに近い行動をとってしまう)、そんな風にやっているとテレビ界は世界中、似たものになっていく可能性もある。巨大外食チェーンが世界を席巻しつつあるように、放送も世界どこでもよく似た番組ばかりになっていくとしたら、それは味気ないだろう。そうなったら、ホテルに籠る必要もなくなる。
テレビがテレビから滋養を得るばかりで、他の媒体から滋養をえなくなると、それは一種の近親相姦あるいは同族結婚であり、やがては発想も表現も情報源も先細りして困難に直面するだろう。テレビの草創期の熱気は映画、新聞、ラジオという異なった文化から来た人間と、そして新たに就職した若者たちのこれら4つの波がぶつかり合ったところに花開いたのである。
■テレビ制作者シリーズ11 「報道のお春」吉永春子ディレクター
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■西サハラの衛星放送局RASD-TV 〜テレビの草創期がここにある〜
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■ジェリー・ロスウェル監督「名も知らぬ精子ドナー(Donor Unknown)」 〜生物学上の父を訪ねて〜
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