2012年06月12日09時07分掲載  無料記事
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欧州

就任1か月 フランス大統領への懸念    

  5月16日にサルコジ大統領の5年間の任期が満了し、社会党選出のフランソワ・オランド氏が大統領となった。それからおよそ1か月。 
 
  ルモンド紙(国際版、6月2日号)にはオランド氏のアフガニスタン訪問の模様が書かれている。5月25日、カブールを電撃訪問したのだ。随行したのは外務大臣のローラン・ファビウス氏と、国防大臣のジャン=イヴ・ル・ドリアン氏。ルモンド紙によると、フランス軍はNATOの枠組みでアフガニスタンに3600人の兵士を派遣しているが、カブール北部にはその3分の2が駐留している。オランド氏は今年末までに2000人以上を撤退させると語った。テロの脅威が完全になくなったわけではないが、一定の効果があったからだと説明している。 
 
  パリ在住のジャーナリスト、パスカル・バレジカ氏によると、それでもオランド氏には不安を感じているようだ。大統領選挙で一票を投じたのは他の候補よりもマシだったからに過ぎないという。 
 
  「私見だが、大統領は早くも間違いを犯した。シリアに対してフランスが軍事介入する可能性を示唆してしまったんだ。しかし、独裁者が倒れた後は必ず事情は悪化している。リビアしかり、エジプトしかり、そしてチュニジアしかり。」 
 
  もし、フランスが抱えている経済危機などの諸問題をオランド氏が解決できなかったら・・・それが不安だとバレジカ氏は言う。今回の大統領選で中道右派のサルコジ大統領が破れたが、票を増やしたのは左派の社会党と右翼のフロント・ナショナルだった。もしフランスがこの5年間でチェンジすることができなかったら・・・そんな懸念を早くもフランス人は感じているのかもしれない。だが、それでもまだ任期は始まったばかりである。 
 
■ドイツのシュピーゲル誌(5月30日)より’Hollande's Syria Comments Irritate Berlin ’(フランス新大統領のシリア介入発言がベルリンをいらだたせる)http://www.spiegel.de/international/world/french-president-leaves-open-possibility-of-military-intervention-in-syria-a-835906.html 
  記事によればフランス軍のシリア介入には国連決議が前提になるとオランド氏は語っている。一方、ドイツのギド・ベスターベレ外相(Guido Westerwelle )はドイツは武力介入を検討していないとしている。もし、軍事介入を行うとすると、現在アサド政権に働きかけているロシアと中国の努力を中断させることになるからだ。昨年、サルコジ大統領の時にフランス軍はリビア侵攻を行ったが、国連でリビアに対する「飛行禁止区域の創出」に対する評決を行った時、ドイツは棄権している。これはドイツがロシアや中国と同じ側に立ったからだ。 
 
■フランス国防省のウェブサイト 
http://www.defense.gouv.fr/ 
■タハール・ベン=ジェルーン著「アラブの春は終わらない」(河出書房新社) 
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