2012年06月14日12時16分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】使用済み燃料は確かに危険だが、しかし運転中の原発の危険とは比べものにならない−読者からの質問に答えて− 山崎久隆(たんぽぽ舎)
【読者から】−−ニュースで聞きましたが「原発を動かさなくてもすでに 使用済み核燃料がある以上、危険は同じ」と言って、再稼動を容認する意見がやはりあるのですね。これが通るのなら、全国で動かされてしまいそうです。専門家でない私のような一般人は、だまされてしまいそうです。燃料棒の温度の違いも大きいでしょうし、事故時の対処もちがってくるでしょうし、本当はかなりのリスクの違いがあるのではないのでしょうか?
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使用済み燃料は確かに危険です。しかし運転中の原発の危険とは比べものになりません。
原発が動いている時は、まず核分裂反応を止められるかどうかが最初の試練になります。
これに失敗すればチェルノブイリ原発事故になります。あっというまもなく炉心の放射能が大量放出され、周囲の人々は致死量の放射能を浴びて死に至ります。その間、対処する時間はほとんど無く、避難も絶望的です。チェルノブイリ原発事故クラスの事故が起きれば数時間で致死量の放射能が、例えば大飯ならば滋賀、京都に、東海2ならば東京に、浜岡ならば名古屋に降り注ぐ可能性すらあります。もちろん気象条件とか風向風速に依存します。
使用済み燃料プール中の燃料は、それが冷却水に浸かっている限り放射能の大量放出はありません。また、燃料プールの底が抜けるとか、建屋が倒壊するなどで燃料が露出する事態になれば直ちに冷却できなくなって破損が始まりますが、それに至るには時間があります。
何の手も打たなければ最悪の事態になるでしょうが、そこまで手をこまねくとも思えません。プールが原型をとどめるならば放
水し続ける方法も在ります。放り出される事態になれば、鉛やドロマイトをかぶせる方法もあります。チェルノブイリ原発事故は、いわば使用済み燃料が大量放出された状態と同じです。最初の爆発と火災が収まれば(つまり事故後10日後には)核燃料からの放射能放出をかなり抑えることが出来ました。
チェルノブイリ原発事故は動いていたから炉心が爆発したのであり、福島第一は止まったからかろうじて格納容器は原型を止め、放出量を抑制しています。
使用済み燃料プールの危険性は、対処の時間を無駄に過ごしたり意味の無い対策を行ってしまうなどで破局事故になる可能性はありますが、運転中の原発のように秒単位で破壊されてしまうようなことはありません。
使用済み燃料プールが現在危険な状態にあるとの警告が、今回のような話に発展したのかもしれませんが、4号機の危険性は別格であり、他の原発のプールとは次元の違う状況にあることも付け加えておきます。
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