2012年07月01日01時53分掲載
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アフリカ
現代の遊牧民「モダン・ノマドの日記10」 アンドレイ・モロビッチ
アバイエ・マハマドゥはニジェールのアガデス州の教育局で働いている。アバイエは洗練された紳士であり、古いタイプのインテリだ。つまり、ネグリチュード運動の集会からすぐにやってきたような人物なのである。アバイエが教育の仕事に携わるようになったのは活動家時代の活動を通じてであった。だが、彼の職務は不条理とも言えるほど膨大にあり、たとえ創造主であっても絶望するほどだ。ともかく、教育分野は底なしに遅れている。
生徒の数は教室の座席数の2倍にのぼる。しかも、それら生徒も入学して1〜2年もするとやめていってしまう。その理由は貧困にある。子どもたちは働かなくてはならないのだ。だから、学校は贅沢品だ。
教師たちは悲劇とも言えるほど低いサラリーに甘んじている。IMFや世界銀行は実際には多大な補助金が裏で投じられている「自由市場(free market)」の教義を日々新たに作り続けており、「合理化」−「民営化」という言葉を壊れたレコードのように繰り返している。
この市場原理主義者の教義に沿って、ニジェールにおいても「ボランティア教師」なるものが導入された。彼らの給料はただでさえ薄給の教師よりもさらに低く、正確に言えば100%低い(無給である)。
グローバル世界の構造に基づけばアフリカは貧乏であり続けることが必要なのだ。少なくともあと50年はそうだ。もし、グローバル世界の指導者たちが違ったことを言っていたとしても、それは嘘なのである。アフリカに対する再建プログラムや再活性化プログラムなど、あらゆる‘支援’や再度の融資はその見かけとは裏腹に形を変えた泥棒に他ならない。最良の場合ですら、本質はアフリカの死体を求めている。オックスファムやカリタセス、あるいはその他、冗談のような様々な組織も皆同じである。
ニジェールにおける教育は腹をすかした若者たちが行う人道的行動である。彼ら一人一人は黒板を持っていない。手に半分ほどの長さのチョークを1つ持っているだけだ。ニジェールは若い新任教師たちに国の事をもっと理解させるため、できるだけ生家から遠くへ赴任させる。
もし村で若い教師を見かけたら、彼らが手にパチンコを持っていることに気づくに違いない。彼らはそのパチンコで鳥を撃ち、食べるのである。この様子が想像できますか!これこそ、まさに合理化が必要なところです、とアバイエ・マハマドゥは言う。彼はもちろん、若い教師たちより地位が上だからもっといい給与をもらっているのだが。紅茶、砂糖、砕いた米があれば、たとえアバイエに妻と二人の子があっても生活するのは無理ではない。
アバイエは教師のストライキには参加しない。彼が警察官に叩かれることはない。だが、アバイエには夢がある。優れた仲間たちと遊牧民の大学を建てることだ。将来、トゥアレグ族がサハラの懐を再び取り戻す日のことだ。そこには自然のリズムがあり、部族の伝統がある。
寄稿 アンドレイ・モロビッチ(Andrej Morovic)
翻訳 プリモス・トロベフセク(スロべニア語→英語)
翻訳 村上良太 (英語→日本語)
■ネグリチュード
「ネグリチュード(フランス語: Negritude、黒人性)は、黒人の自覚を促す標語、あるいは精神的風土や文化の特質をさす語。おもにフランス領アンティルとフランス語圏アフリカで発祥した文学運動の名称でもある。」(ウィキペディア)
ニジェールもフランス語が公用語である。外務省によればニジェールの人口は1529万人(2009年)で、「ハウサ族、ジェルマ・ソンガイ族、カヌウリ族、トゥアレグ族、トゥープー族、プール族等」が暮らしている。
■モロビッチさんの著作
http://www.goodreads.com/author/show/3077889.Andrej_Morovic
■アンドレイ・モロビッチさん
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■モダンノマドの日記 アンドレイ・モロビッチ
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■「モダンノマドの日記」モーリタニアからマリに入る アンドレイ・モロビッチ
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■現代の遊牧民〜「モダン・ノマドの日記 2」
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デインジャー(’危険’)は砂漠の真ん中にスキー用品店を開いている。シベリアの凍土地帯にではない。サハラ砂漠にだ。ここでデインジャーはスキー板やスキー靴を売っている。滑降、ターン、ジャンプすべての用途に答えるスキー用品がそろっている。・・・
■モロビッチ氏の伴侶
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■モダンノマドの日記 雨季を待ちながら アンドレイ・モロビッチ
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