2012年07月07日18時59分掲載  無料記事
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ロシアン・カクテル

(38)コスプレ「日の出」、寿司「桜」「やくざ」… 高まる日本文化人気 タチヤーナ・スニトコ

  ロシア人は、外国人というのは皆ロシアでは町の中を熊が歩いていると思っていて、そう思っていない外国人に出会うととてもビックリします。 
 
 ロシア人は日本人は皆、剣道・合気道・書道・華道などの達人だと思っています。東京に来たロシア人が花屋の仏花を見て、「これって生け花?!」とビックリしたという話しもあります。 
ロシア人は日本人に対して、ロマンチックなイメージを持っています。これは“日本ユートピア論”の結果です。西洋にとって日本はいつも不思議な国でした。 
 
 ロシアの若者には日本のアニメのファンが多い。右の「日の出」というコスプレの写真を見てください。 
 
ロシアでは沢山の若者が合気道、空手、剣道等をやっています。学園祭では「日本の扇踊り」を踊ります。その踊りはロシアの“不思議な日本”のイメージで作った踊りです。 
 
 10年ほど前からロシアでは“日本寿司ブーム”となっています。ロシアでは、寿司には様々な“材料と形”のバリエーションがあります。 
 
 例えば、“スチョーパ”(ロシア人男性の名前、ロシア語:«Стёпа»)という巻寿司で使われる材料は次のとおりです:牛肉、ゴーダチーズ、きゅうり、ベーコン! 
ロシアのユニークな巻寿司はキャビア(!)寿司です。 
 
 それから、ロシアの寿司の特徴は“日本風の名前”です。いくつか例を挙げると、「桜」、「万歳」、「三味線」、「やくざ」、「築地」、「わさび」、「首里城」等々です。 
 
 祝祭日や特別なエベント等にも新しい寿司が創られています。例えば、「聖バレンタインディー」、「サッカー世界チャンピオンシップ」などです。 
 
 現在ロシアではいろいろな社会層で日本に対する興味が盛り上がってきており、日本語を勉強し始める人の数も増加しています。多くの大学では日本語学科が創設されており、日本語能力試験を受ける人の数も毎年増加しています。 
 
 私は日本語を勉強しているロシアの学生たちに「日本についてどう思うか」を書くように依頼してみました。答えは次のようでした。 
「日本は大きい国です。小さい国とは思いません。何故なら、面白いことがいろいろ沢山あるからです。いろんな意味で豊な国です」 
「日本人は仕事中毒で保守的で変わっています」 
「私にとっては、日本の伝統・習慣は魅力があります。日本人の日常の振る舞いやマナーも魅力があると思います。日本とロシアの関係が良くなるようにとても願っています」 
 
 異文化コミュニケーションには、多くの場合にはステレオタイプが“理解“の役割を果たしています。又、このステレオタイプは沢山のジョークを生みだしました。 
 例えば、乗客をパラシュートで脱出させる方法は? 
ロシア人には「ここは飛び降り禁止だよ!」 
日本人には「他のみんなは飛び降りたよ!」 
日本人についてのステレオタイプは次のようです:日本人は礼儀正しく、規則をよく守り、几帳面で、お寿司を食べ、キスをすることなく、他の国の人たちより長命です。又、ほとんど仕事を休みません。何故なら、仕事がとても好きだからです。等々。 
 
 一方、日本ではロシアのバレーやトルストイやドストエフスキーやチェブラーシカに人気があります。しかし、ロシア語を勉強している人は少ないです。日本人のロシアとロシア人についてのイメージは「暗いイメージ」です。ロシア人は怠け者・大酒飲みというステレオタイプが生きています。 
 
 「あなたはウォッカが強いですか?」という質問がロシア人には投げかけられます。勿論、“大酒を飲むこと”、“馬鹿なことをすること”、“悪い道に入ること”は皇帝ピョートル 1 世の時代から現在まで大きい問題となっていますが、ロシア人は皆が大酒を飲むということはありません。ロシア人に対する「暗いイメージ」には現在のロシアの政治と北方領土問題の未解決状態が続いていることも一因となっているかもしれません。 
 
 勿論、今まで述べたことはロシア人にとってとても気の毒なことです。 
 日本の社会では、ロシア文化に対しての興味がクラシック音楽と文学に限られています。現在のロシアの文学と音楽はほとんど知られていません。 
 
 依然として、ロシア人にとって文学というものは大部分は詩を意味します。ロシアの古典的なロシアの散文の伝統はプーシキンの『エフゲニー・オネーギン』という韻文小説から始まります。ロシア語で書かれた詩は”言葉の音楽“です。ところで、言葉が違うために、詩を正確に翻訳することはほとんど不可能です。それ故、ロシア文学の大部分は日本人読者には知られていません。日本語の詩(俳句)も翻訳される場合にはもとの深い意味やニュアンスは失なわれ表面上の意味だけになります。 
 
 ロシアの詩と言えば、歌になった詩だけが少し日本では知られています。日本に来たことのあるブラート・オクジャワという詩人の歌手を知っている人がいるかもしれませんが、ロシア文化の新時代を築いているウラジーミル・ヴィソツキーという詩人の歌手を知る人は少ないと思います。 


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