2012年07月10日01時13分掲載  無料記事
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コラム

アンコールワットと密林の猿たち

  19世紀半ば、フランスのナチュラリストで探検家のアンリ・ムオ(Henri Mouhot)はインドシナを旅している途中、密林の中に東洋の秘境アンコール・ワットを発見した。ムオはその時の探検の記録を残している。ナチュラリストだったというだけあって、ムオの探検記には動物たちの興味深い姿も描かれている。 
 
  中でも目を引くのは密林の猿たちである。川べりで暮らしている猿たちは川辺の木の枝から、手と手をつないで二頭、三頭、四頭とつながって最後の一頭は川面あたりまで手が届くばかりである。猿たちは何をしているのか、というと、揺れを利用して川面に潜んでいる鰐の頭をピシャッと叩くのだ。しかし、時々、手が滑って川に落ちる猿がいる。すると気の毒にも鰐の餌食になってしまう。それでも猿たちはしばらくするとまた鰐の頭を叩くためにつながるのだそうである。 
 
  本当だろうか?人類の悪は猿だった頃に芽生えたとサル学の大家が提唱していたが、ムオのこの記述を読むと、猿に対して敬意を抱いてしまう。 


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