2012年07月19日09時11分掲載
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アジア
東ティモールで連立政権発足へ 発表後に暴力事件発生し5人が死傷
7日の東ティモール総選挙で第一党になったティモール再建国民会議(CNRT)のシャナナ・グスマン首相は15日、民主党とフレンティ・ムダンサとの三党連立政権の発足を発表した。しかしその直後に東南部のビケケ県で暴力事件が発生し5人が死傷、根付き始めたとされる民主主義のもろさの一端をのぞかせた。(クアラルンプール=和田等)
CNRTは総議席数65のうち30議席を獲得したが単独過半数には届かなかった。このため、8議席を得た民主党と2議席を獲得したフレンティ・ムダンサと連立政権を組むと発表した。
10年前の東ティモール独立時に与党だった東ティモール独立革命戦線(フ レティリン)は前回2007年の総選挙時の21議席を上回る25議席を確保したものの、再度野党に甘んじることになった。今回の選挙で議席を獲得したのは候補者を立てた21政党のうち4政党のみだった。
一方、暴力事件は、同県の集会でCNRT支持者がフレティリンを侮蔑するような発言をしたため、怒ったフレティリンの支持者とCNRT派が衝突した。民間人1人が死亡し、警察官4人が負傷、投石によって車両50台以上が破壊された。
これを受けて4政党の指導者と会談したタウル・マタン大統領は17日、「暴力は民主主義を体現する手法とはいえない」としたうえで、各党指導者にお互いの理解を促進し東ティモールでの平和と平穏をもたらすために協力してほしいと求めた。
会談に出席していたフレティリンのフランシスコ・グテレス(ルオロ)党首は、大統領のメッセージを支持する姿勢を示し、「わが党は東ティモールの平和と安定を維持したいと願っている」と言明した。
東ティモールの治安維持にあたってきた約1300人からなる国連部隊は、2012年末までに撤退することになっているが、撤退後に治安を揺るがすような事態が起こるのでは、との懸念の声も出ており、独立10周年を経た東ティモールはこれから正念場を迎えることになる。
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