2012年08月01日00時08分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201208010008393

遺伝子組み換え/ゲノム編集

【世界を揺るがす遺伝子組み換え】(4)健康被害   印鑰 智哉  

 遺伝子組み換え作物による健康被害は耕作地にとどまらない。遺伝子組み換え農産物は従来の農産物と実質的同質であり、長期間のモニターは不要であると遺伝子組み換え企業は繰り返してきた。しかし、その安全神話はもはや信頼を世界で失いつつある。 
 
◆遺伝子組み換え作物による健康被害 
 
 害虫が食べると即死するBt毒素を合成するように遺伝子組み換えされたトウモロコシを飼料とした家畜の肉を食べた93%の妊婦の血液中からこのBt毒素が発見され、胎児にも80%の割合で発見されると、カナダの研究機関が報告した。 
  このBt毒素は虫が食べると即死するが人が食べても腸で破壊されて吸収されないとモンサントは説明していた。しかし実際にはそれが血液中に取り込まれてい る事実が知られると、今度はBt毒素そのものは自然に存在する物質であり、健康に被害は与えないとモンサントはいう。しかし、マウスに遺伝子組み換えBt 毒素、自然由来のBt毒素、Bt毒素を含まないじゃがいもで実験したところ、遺伝子組み換えのBt毒素だけ内臓機能に異変を来す現象が報告されており、モ ンサントの言う「安全」を信じることはもはや不可能だろう。 
 
 カナダのケースは米大陸の対岸の火事の話として聞くことができない内容である。なぜなら、日本に来ている飼料もそのほとんどが北米産であり、カナダの人びとが直面している状況と日本の状況に大きな違いがあるわけではないからだ。 
 
  遺伝子組み換え食品を体内に取り込むと、それは単にタンパクや栄養素として取り込まれるだけでなく、組み替えられたμRNA自体を取り込んでしまう、とい う研究結果が発表された。要するに遺伝子組み換え食品を食べるということは組み替えられた遺伝子を情報として体内に取り組むことを意味している。その結 果、異物を判別し、人体に悪影響を与えるものを排除する体内の免疫システムが攪乱させられる。その障害は血液を通じて、体内に広がり、ガン、白血病、神経 系、アレルギーなど免疫系の病気を引き起こす。免疫を形成する上でもっともデリケートな胎児や新生児に多大な影響を与える懸念がある。この研究結果が発表 になった後、中国政府はかつての遺伝子組み換え推進政策を大きく変えた。 
 
◆この10年で急速に広がる遺伝子組み換え 
 
 最初 の遺伝子組み換え大豆が米国で承認されたのは1996年。わずか10数年のうちに南北米大陸を米国政府のバックを元に強引に遺伝子組み換え作物は広げられ ていった。家畜の飼料などとして日本にも大量に入り込んできている。そして家畜の飼料などは現在、食品表示の対象にならないので私たち日本の消費者はどん な飼料を食べたブタや牛、鶏か知らずに食べている。 
 遺伝子組み換えが登場する前に子ども時代を終えた世代はすでに免疫系ができているから影響は 少ないかもしれない。しかし、今、免疫を形成しようとしている子どもたち、あるいはこれから生まれてくる子どもたちにとっては大変に危険な事態となってい る。不妊や出生などへの影響も懸念される。今こそ遺伝子組み換えは問題にしていかなければならない時なのだ。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。