2012年09月07日00時27分掲載
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コラム
空港の書店で目にした一冊〜ノンフィクション’ZEITOUN’〜全米図書賞受賞作 村上良太
アメリカのダラス国際空港の書店で目についたのが「ZEITOUN」というタイトルの本だった。表紙は洪水の町をカヌーを漕ぐ髭面の男のイラストである。このイラストのタッチが気に入った。そこには、全米図書賞受賞という金色の円形マークも刻印されていた。
作家はDave Eggers、ノンフィクションである。Zeitounとは男の名前だ。読み方もおぼつかない珍しい名前である。シリアから渡米した男なのである。Zeitoun氏とその妻子、またシリアの家族の写真が白黒で掲載されている。この本はシリア系住民、Zeitoun氏が2005年の夏、ハリケーン・カトリーナがニューオーリンズの町を襲った時に受けた出来事をつづったものだ。このZeitoun氏は善良な人物でハリケーンで町が水没した時、他人やペットたちを助けるためにカヌーを漕いで尽力していた。ところがシリア系だったがゆえに逮捕され、テロリストの疑いを受け、ひどい待遇を受けたそうである。一方、彼の妻子は行方不明の夫が当局により逮捕監禁されていたという消息すら知らされずに20日以上待ち続けた。本の売り口上には「まさしくカフカ的体験」と書かれている。それでいてなおかつ、希望が持てる本だという。
まだ時間がなく読めていないがゆえに面白いと確信を持って語ることはできない。しかし、この本は何か新鮮なオーラを発していた。また空港の他の書店でもこの本を目にした。アメリカ人たちは今、この本を読むことでどのような思いを抱くのだろうか。異色のノンフィクションという印象がある。http://www.amazon.co.jp/Zeitoun-Dave-Eggers/dp/1934781630
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