2012年09月11日13時31分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】国会同意人事が通らないとなると、首相が勝手に恣意的に委員人事をいじれる、などという最悪の前例を作ってしまう  山崎久隆

 「原子力規制委員会設置法附則第2条第3項」には「国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないとき」に「内閣総理大臣が原子力規正委員を任命することができる」という条項があるのを悪用して、膠着した原子力規正委員会人事に決着を付けようと、野田首相の周辺が考えていると報じられています。 
 
 そんな無茶苦茶な話はありません。民主主義が崩壊します。反対意見や修正意見も含めて徹底議論し、最終的に本会議で議決するのが筋です。しかし議決すると負けるかも知れない。よしんば通ったとしても与党からの「造反」がまた起きるかも知れない。怖くて国会に出せない案、それが今の人事案です。そんな腐った案をどうして「議会閉会後に内閣総理大臣が任命」できるでしょう。あり得ません。 
 
 仮にそんな強引人事を行ったとしても、再開国会でやはり「同意」議決を経なければなりません。結局そこで否決されたら、元に戻るだけになります。その間に再起動をする基準をまた泥縄で作る気でしょうか。何度同じ誤りを繰り返せば分かるのでしょうか。この人達は。 
 
 法律が言う「任命できる」規定が想定しているのは、委員が死亡するなどで急に欠員となるような場合、国会が閉じていたり選挙期間中では委員会が事実上機能しなくなることを避けるための規定です。多くの国会議員や市民が反対する人物を強引に就任させる便法であるはずがありません。 
 
 田中俊一氏などが原子力産業からの便宜を受けていたこと、過去の経歴、現在の立場も、法令に反していることは、日弁連などからも指摘されています。 
 原子力規制委員会設置法7条7項3号では、「原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理若しくは廃棄の事業を行う者、原子炉を設置する者」は委員長・委員には就任できないとしているのですから。 
 
 いつまでも原子力複合体のために働くのはやめたらいかがか。経産省官僚と野田首相よ。 


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