2012年09月14日14時06分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】世界は「反核兵器=反原発」である オーストラリア フィリップ・ワイトさんの指摘 山崎久隆
8月30日〜31日に駒場東大で開催された国際シンポジウム「福島原発で何が起きたか−安全神話の崩壊」のセッションで、思いがけずにとても重要な提起を聞くことができました。
セッション全体は、田中三彦さんや石橋克彦さんなど、そうそうたるメンバーによる福島原発震災とそれを引き起こした原因、国会事故調で何を問題にしたか、そしてこれからのエネルギー政策について語られました。思いがけず、という表現を使ったのは、このテーマが取り上げられるとは思っていなかったからです。
それは「原子力「平和」利用と核開発」。提起者はフィリップ・ワイトさん。オーストラリアで核開発に伴う先住民の生存権などにも取り組む一方、日本では原子力資料情報室の国際担当スタッフとしても活躍されています。
ワイトさんは福島原発事故が発生したことについて、その核燃料の元となるウラニウムをオーストラリアから輸出していたことに、オーストラリアの人々は心を痛めていると指摘され、同時にウラン採掘地がオーストラリア先住民の土地であり、多くの人々が傷つけられていることにも思いをはせて欲しいと訴えました。
さらに日本の運動が、反核兵器と反原発でくっきりと分かれてしまっていることが大きな問題と語ります。
核兵器廃絶を訴える団体は原発を語らず、反原発運動をしていると日本の核兵器開発問題に余り関心を示さない。しかし「平和」利用は「日本的に特殊な」カテゴライズであり、世界は「反核兵器=反原発」であると指摘、運動が分断されていることは共に実現が困難な状態を作っているとして、運動の共同をこそ原発を核を廃絶する力になると強調されました。
団体や運動を直接名指しこそしませんでしたが、やはりこれまで日本の反核運動を主導してきたところが、核武装と原子力開発が一体不可分であることをあらためて問い返して欲しいと思います。
おりしも原子力基本法の原子力開発の「目的」に「国家安全保障のために」などとどさくさ紛れに書き込む「原子力規制庁設置法」が電撃的に国会で可決され、日本の核燃料サイクルは「核抑止のために必要だ」と公然と語る政治家がまたも自民党総裁になろうとしています。フクシマ以前から核武装と原子力は一体不可分と、問題提起を続けてきた「核開発に反対する会」(槌田敦さんが代表で、たんぽぽ舎で主に活動している市民団体)などの運動は、今後ま
すます重要になってきているようです。
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