2012年09月15日07時33分掲載
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人権/反差別/司法
モロッコによる西サハラ住民の弾圧 2010年11月
2010年11月、モロッコの占領に抗議していた西サハラ住民およそ2万人に対して、モロッコ軍が急襲して弾圧した。モロッコは西サハラ住民の活動家100人以上を逮捕し、軍事法廷にかけるとした。これに対してかつての宗主国スペインで抗議デモが起きた。俳優のハビエル・バルテム氏も西サハラの独立を支持し、モロッコの暴虐に対して抗議を行った。占領下の西サハラでは多数の住民がモロッコ軍によって拘束され殺されている。
ところが日本のある代表的なテレビ局では西サハラはパレスチナほど国際的関心を引かないとこの事件をほとんど報道していない。しかし、この事件はアクチュアルな国際的な政治問題である。問題がシリアのように国際的関心を引かない真の理由はフランスなど西洋諸国がモロッコ占領下の西サハラの資源開発に強い関心を抱いているからだと言われている。フランスは一国内の内戦に関与するより前に、ある国民が他国から占領され、国連による取り決めも果たされず人権が40年近く抑圧され続けている西サハラにまず介入するべきではないか。
以下は2010年11月の弾圧の模様を伝えるアメリカの「デモクラシー・ナウ!」から。http://www.democracynow.org/2010/11/15/moroccan_forces_raid_protest_camp_in
西サハラの人々は「アラブの春」の原点こそ、2010年11月のモロッコ占領に対して行った西サハラ住民による大規模抗議デモだと考えている。この抗議活動はスペインが1975年に西サハラから撤退して以後、最大規模となった。
同番組ではサンフランシスコ大学教授Stephen Zunes氏が登場する。「西サハラ」(Western Sahara: War, Nationalism, and Conflict Irresolution)という本を書いた国際政治の専門家である。Zunes氏は占領を続けるモロッコの裏にモロッコを支援するフランスがあるとしている。一方、モロッコには米軍基地もある。これもまた、「アラブの春」の成功する国と成功しない国が併存する例に漏れない。
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