2012年10月06日02時45分掲載
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マーティン・シャーマン作「ローズ」公演
米劇作家マーティン・シャーマンによる一人芝居「ローズ」が来月東京で上演される。女性ローズを演じるのは東京演劇アンサンブルの女優、志賀澤子氏。今回は同劇団ではなく、プライベートユニットを結成しての舞台となる。http://www.theaterguide.co.jp/search_result/paid/detail.php?id=26320
80歳の女性、ローズが木製のベンチに座って激動の人生を回顧する。その人生はまさに20世紀を象徴するかのごとくだ。ウクライナに生まれたユダヤ人のローズは兄を頼って出向いたワルシャワのゲットーで折しもドイツ軍の侵攻を間近に見ることになる。第二次大戦をかろうじて生き延びたローズは戦後、「エクソダス号」に乗ってパレスチナを目指した。しかし、運命のいたずらからアメリカのアトランティックシティに渡る。アメリカ人と結婚し、ビジネスも軌道に乗った。そして年老いた今はマイアミにいる。
この女性をどう日本人の観客に共感させ、一方で彼女に距離を置きながら見ることを可能にするか。単なるカタルシスではなく、舞台上の出来事を批判的に観客が考えることができる舞台作りを長年行ってきた志賀氏。この独り芝居は俳優人生の総決算でもあるという。演出はこれまで様々な名舞台を手掛けてきた高瀬久男氏(文学座所属)。
米紙の記事などを参照すると、ユダヤ系の劇作家、マーティン・シャーマンにはローズのモデルとなった祖母がいるのだそうだ。その女性に様々な想像をブレンドしたとシャーマン氏はインタビューで語っている。初演はロンドンのナショナルシアターで1999年の夏だったようである。この時の女優はオリンピア・デュカキスだった。
以下は米紙の演劇記事から。タイトルは「マーティン・シャーマン ユダヤ人の1世紀の記憶をドラマ化」。ユダヤ人の1世紀ではなく、ユダヤ人の「記憶」の一世紀としているところが興味深い。この記憶というテーマこそは今アジアでクローズアップされているものでもあると思う。http://www.donshewey.com/theater_articles/martin_sherman_for_NYT.htm
公演期間:11月7日(水)〜11月11日(日)
劇場: ブレヒトの芝居小屋
〒177-0051 東京都練馬区関町北4-35-17
問い合わせ: 東京演劇サンサンブル:
電話 03-3920-5232 (電話は月曜〜土曜。10時〜18時。)
■オリンピア・デュカキスの演じたローズ
http://www.cyprusevents.net/events/rose-limassol-2012/
■Judith Magre(仏)が演じたローズ
http://www.lestroiscoups.com/article-rose-de-martin-sherman-critique-de-florent-coudeyrat-la-pepiniere-theatre-a-paris-98026781.html
ジュリアン・デュビビエ、ビットリオ・デ・シーカ、クロード・ルルーシュ、アンヌ・フォンテーヌなどの映画にも出演しているベテラン女優である。
■今法案化が進められている劇場法への懸念 文化統制につながる危険を演劇人が指摘(寄稿:志賀澤子氏)
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