2012年10月06日20時35分掲載
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コラム
ベシュレル〜フランスの動詞活用テキスト〜をもらって 村上良太
最近ネットで、ベシュレル(Bescherelle)というフランス語の動詞活用テキストがいいという情報をいくつか見た。そこでNHKの国際放送を担当しているフランス人の友人に尋ねてみると「ベシュレルなら持っているから、差し上げますよ。少し古い版ですが」という答えが返ってきた。
さっそく友人からもらったベシュレルを手にすると、表紙は地が緑で「LE NOUVEAU BESCERELLE 1. L'ART DE CONJUGUER DICTIONAIRE DE 12000 VERBES」と行ごとに色を変えて印字されており、洒落た装丁である。開いてみると、基本的な活用がシンプルに並んでおり、ところどころ勘所がオレンジ色になっている。掲載されている動詞の数は82である。
ベシュレルを手に取って思い出したのは以前絶賛した久松健一著「暗記本位 フランス語動詞活用表」(駿河台出版社)である。今もこの本の優れた点を否定する気はない。動詞活用表を常識的な縦横の並びをひっくり返し、しかも口語では使わない単純過去などをばっさり切ったものだ。そのために初心者にとっては非常に負担が少なく、手にしやすい参考書に仕上がっている。しかしながら、今回ベシュレルを手にして思ったのは、「暗記本位・・・」でオミットされていた単純過去と接続法半過去の活用形がベシュレルに載っていたことである。
接続法は口語でも使う用法だし、接続法半過去もそうである。*ところが「暗記本位・・・」には接続法半過去が掲載されていない。また接続法半過去の活用の語幹となる単純過去もない。その2点が「暗記本位・・」の弱さかもしれないと思った。とはいえ、それを加えると、「暗記本位・・・」のわかりやすい特徴を弱めてしまうかもしれない。それでも、ベシュレルと「暗記本位」のいいとこどりをして綜合するやり方はありそうに思えた。
フランス語に関心のない人には意味がない話だろうが、フランス語の初学者にとってみると、動詞活用をどう効果的に学ぶかは肝である。動詞活用表などフランスでは小学生が使うのだろうが、僕には今でも必要だ。英語の動詞の活用なら、一度覚えたらいちいち辞書を引く手間は不要だが、フランス語の場合はEメールを書くにも、僕の場合、まるで暗号表みたいに活用表でチェックすることになる。
*後日、恥ずかしいことながら、接続法半過去は口語では使わない用法と知った。(口語の場合は接続法半過去の代わりに接続法過去という形が用いられる)「暗記本位」は口語に関する限り網羅されていることになり、改めてその良さを認識することになった。
■文法書シリーズ「ベシュレル」のウェブサイト
HATIERという出版社が出している。
http://www.bescherelle.com/
■フランス書籍専門店「欧明社」のウェブサイトから
「動詞変化表と言えばベシュレル!動詞索引数は9600とダントツトップ。2012年7月に改訂され、2部構成から3部構成へ、動詞活用表は98から104とバージョンアップ。」http://www.omeisha.com/?pid=27039318
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