2012年10月25日14時57分掲載
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核・原子力
福島原発事故 国連「健康に対する権利に関する特別報告者」が来日、周辺住民の実態調査を実施
福島原発事故後の周辺住民の健康リスクに関し、11月に、国連「健康に対する権利に関する特別報告者」が来日、原発事故後の放射能影響下にある、子どもをはじめとする周辺住民の健康に対する「権利に対する権利」の実態を調査する。国際人権NGO、ヒューマンライツ・ナウなど人権団体が国連関係者に書簡を送り、実現したものだ。(大野和興)
ヒューマンライツ・ナウはこれまでの経過と実際の調査に関し、以下のように述べている。
福島第一原発事故後、一年半以上が経過しましたが、周辺の広範な地域に居住する人々の健康は果たして適切に守られているのか、予想される被ばくリスクに対し、深刻な健康被害を防ぐための政府の措置は講じられているのか、深刻な懸念が表明されています。
国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、市民団体等とともに昨年、国連人権高等弁務官事務所と、国連の独立専門家にあてて、この問題に関する事実調査ミッションの派遣を要請する書簡を送りました。
こうした動きを受けて、今年11月15日から26日まで、国連「健康に対する権利に関する特別報告者」のアナンド・グローバー (Anand Grover) 氏らが来日、原発事故後の放射能影響下にある、子どもをはじめとする周辺住民の健康に対する「権利に対する権利」の実態を調査を行うことになりました。
東京・福島等において様々な聴き取り調査を行う予定です。
国連「健康に対する権利に関する特別報告者」は、2002年の国連決議によって発足した特別手続により、国連人権理事会によって選任される独立専門家であり、世界中の健康に対する権利の侵害や問題状況に関し、事実調査・勧告を行っています。
今回は福島原発事故・東日本大震災以降の健康を取り巻く状況を調査する予定であり、日本に対して勧告を出すことが予想されています。
日程の詳細は公表されていませんが、特別報告者は政府機関、福島県等に対する聴き取りを行う予定であり、併せて、福島在住者、避難者(自主避難者を含む)に対する聴き取りや市民社会との会合も希望されています。
ヒューマンライツ・ナウは、原発事故後の周辺の住民に対する政府・県の施策が、国際水準からみて著しく不十分かつ問題があり、対応が遅れていること、人々が健康不安に苦しみ、かつ声を上げにくい状況に置かれていることを指摘し、改善を提言してきました。今回の調査を通じて、国連から国際水準に基づく適切な提言がなされ、現状の改善につながることを期待しています。
今回の国連調査ミッションは国連による独立・中立のものですが、ヒューマンライツ・ナウは、市民社会、影響を受けている被災者の方々との橋渡しの役割を果たしていく予定です。
また、適宜、調査プロセスの取材対応の可否、特別報告者による記者会見の予定等の情報をお伝えしてまいります。
(※ なお、この件で、イベント・報告会・シンポジウムの開催等に関するお問い合わせをいただいておりますが、今回は調査を目的とした訪問であり、集会・講演等は予定されておりません)。
国連「健康に対する権利に関する特別報告者」およびアナンド・グローバー氏(Anand Grover)については、以下のウェブサイトをご確認ください。
http://unsrhealth.org/
この件のお問い合わせは、下記メールにてお願いいたします。
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