2012年10月27日12時14分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】インドの原発反対運動(下)インド電力不足は発電所不足ではない 山崎久隆
インドの電力インフラは、国土の広さと相まって極めて厳しい条件下にある。いくら原発を、つまり大型発電所を国内に建設しようとも、電力不足すなわち人口の4割に電気が届かない現状を変えることはできない。問題は発電能力にあるのではなく、電気を届ける能力にあるからだ。
送電網のロスは日本の数倍から10倍に達し、発電した電気の3割は送電系統内でロスしていると言われている。
これを解消するために高効率の送電網を全土に巡らすなど、およそ非現実的だ。日本においても津々浦々に電気を送れるようになるには100年かかっている。この狭い国土ですら。
インドで津々浦々に電力を届ける最も効果的な方法は、小規模分散型電源の大量導入でしかない。主流は風力、太陽熱(光)、バイオマス、小規模水力である。さしあたっては小形のバイオマス火力システムを燃料電池と組み合わせるなどして、村々を電化することだ。長距離大電力送電などいくら作っても維持管理にコストが掛かるだけ無駄なこと。何兆円も投資しても効果は上がらないばかりか、電気料金がとてつもなく高騰し住民が使えないものになる。
ただし、大都市や工業地帯に対しては大電力を送るシステムが必要であろう。
日本が国規模で支援できることは、都市近郊に作る大型火力の技術である。コ・ジェネレーションシステムで、大電力を送るもっとも効率的な方法は、石炭火力とガス発電。これらはインドにもたくさんあるが、いずれも30%台の効率で動いている。これを60%台に引き上げる技術を支援すれば、同じ燃料費で二倍の発電が可能となる。
もちろん最新鋭火力は環境負荷も小さい。窒素酸化物や硫黄酸化物、煤煙などもほとんど出ない。今後30年以上もインドの電力供
給に資することが可能な技術だ。原発など効率はたった33%、後は全て廃熱となって近海を暖め、サイクロンを巨大化させるだけ。放射性廃棄物問題は日本はもとより米国もフランスも解決できない。そんな技術に未来があるはずもない。(完)
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