2013年02月01日14時21分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】新安全基準、ハード面でも失格続出 免震重要棟なし、フィルターベントなしの大飯原発は違法   山崎久隆                                     

 昨年、「免震重要棟」の存在が、再稼働でも問題になっていた。 
福島第一原発震災では、わずか9ヶ月前に完成していた免震重要棟が対策本部になっていた。この建物は免震なので地震の被害は受けなかったし、放射線を遮蔽する能力もあった(もっとも、後になって出入口を二重構造に改造したり原発側に遮蔽板を増設したりしたが)ので、拠点として使うことが出来た。 
 
 この免震重要棟は、2007年7月の中越沖地震において、柏崎刈羽原発の事務棟が地震の影響で機能しなくなり、その中にあった防災室も入室さえ出来なくなるという事態を受けて、特に東電の原発を中心に「緊急時に機能しない防災室を補完するために」作ることになったものだ。 
 
 ということは、中越沖地震がなかったり、中越沖でも柏崎刈羽原子力発電所の事務棟が被災しなかったり、建設の決定や工期がもっと遅れていたら「存在すらしなかったもの」なのだ。 
 
 たくさんの「偶然起きなかったこと」の一つが、福島第一での免震重要棟の「不存在」であることを、私たちは「各人が信じるもの」に感謝すべきなのだろう。 
 
 それほど「救われた」免震重要棟は、当然ながら原発防災に必須のものとして、各原発に新増設することになった、はずだったが、何と日本で唯一稼働している大飯原発に「存在しない」。 
 
 どうやら大飯原発には地震は来ないのか、あるいは来ても放射能は漏れないのか、あるいは、そもそもそんなことを考えたくもない「思考停止」に陥っているのか−どれかであろう。 
 ちなみに、免震棟があるのは東電以外では浜岡、女川、敦賀、東海第二、伊方だけだ。 
 
 さて、新安全基準でも、免震重要棟ないしはそれに準ずる施設の存在を「必須」のものとしていない。「緊急時対策所」という表現に、その性能が含まれるようにも読めるが、必ずしも福島第一の免震棟が想定されているわけでもない。 
 
 それに現在大飯原発が稼働しているのに、これが存在しないことが問題にもなっていないのだから、何をか言わんやである。 
 福島第一では、格納容器が破壊され、それによって大半の放射性物質が放出したと考えられる。(水系は除く) 
 
 これに対しては、格納容器の機能強化が第一であり、二重格納容器とすることが唯一の解決だろう。同一体積の格納容器であれば半分の圧力に減圧できる。これもまた、必須の装置である。 
 加えて、大量の放射能放出により大勢の市民を被曝させたベントも、フィルターベントにすることしか解決方法は無いだろう。 
 これらを実装しないままに動いている大飯原発は、やはり違法であるというべきだ。 


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