2013年02月03日01時16分掲載  無料記事
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みる・よむ・きく

ガーディアンの写真家 ショーン・スミス  

  英紙ガーディアンに戦慄を感じさせる写真を撮り続ける戦争写真家、ショーン・スミス(Sean Smith)氏がいる。シリアの内戦、リビアの内戦、そして今、焦点になってきたマリの内戦を撮っている。そこには死がある。しかし、報道写真というにとどまらず情感あふれる色彩感覚を持っている。だから、記号になりがちな事件にはっとするリアリティを感じさせる力を持っている。 
 
  米軍に捕まったイラク人たちが目隠しをされ数珠つなぎに連行される写真や、処刑されて地に散らばるカダフィ政権側の多数の人間の死体の写真など、いずれも胸に迫ってくる。 
http://www.guardian.co.uk/profile/seansmith 
  筆者にとって印象深かった一枚は血しぶきを浴びた少年が座ってシャッターにもたれたまま、泣き叫んでいる写真である。少年の右手が母親の左手に触れている。母親は倒れており、眼は開いているのだが、意識はほとんどないようだ。 
 
  写真のキャプションにはこうあった。 
 
  ’Ali Sha'ita, 12, comforts his mother in the wake of an Israeli air attack on the vehicle in which he and his family were fleeing the village of Et Tiri, Tyre, 2006’ 
 
  これは2006年、イスラエル軍によるレバノン侵攻時に空爆で死傷したレバノンの市民のようである。僕はこの写真がいつのものだったのか忘れてしまっていたのだが、確かに見た記憶があった。その写真家がショーン・スミス氏だったのだ。初めてこの写真をみた当時も同じ感覚を持ったことを僕は思い出した。戦争がもたらす寂しさと悲しみの世界を物語っている。 
 
村上良太 


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