2013年02月16日11時48分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】次はどんな地震が来るのか知っている人は誰もいない 山崎久隆
2月1日に「再処理工場を始め危険なプール保管中の使用済燃料を乾式貯蔵に移行するよう求める」との記事を配信してまもなく、北海道の下で危惧される「スラブ内地震」が発生した。マグニチュード6.5、震源深さは108kmと、深くて中程度の地震なのに青森県東通村で震度5弱を観測した。距離(震央距離)は230kmも離れており、震源の真上よりも強い揺れに襲われた。最大震度を記録した根室市なども、震源の位置からは、かなり離れている。いわゆる「異常震域」地震だった。
◇スラブ内地震発生
このような地震の場合、真上であるかどうか、あるいは距離が近いか遠いかと揺れの大きさは比例しない。被害が思わぬところで発生することも希ではない。
地震の規模も比較的小さい上、深さもあるので、通常ならば地上では被害は出ないものだが、ほとんど垂直に近い震源断層のずれがあり、強い揺れが地上まで到達したと思われる。さらにプレートに沿って揺れが伝わり、比較的プレート表面が近く地盤が揺れを伝えやすい条件がそろったところで大きな揺れになったと思われる。
このような地震は、起きてみなければどうなるかが分からない怖さがある。
◇浜岡と同じ異常震域
東通原発では、地上に現れた敷地内の断層が「活断層」と考えられている。そのうえ、地下で発生する地震の揺れが「増幅」されて伝わる構造があると思われる。これは浜岡原発5号機が遭遇したのと同様の現象であり、耐震性評価が全く間違っていることを示しているのではないかと疑われる。
浜岡原発では、震源距離40km以上も離れたマグニチュード6.5の「駿河湾の地震」で、5基並んでいる原発のうち5号機で大きな揺れを観測した。この揺れは他の号機の3倍以上にも達するものであり、周波数の一部が耐震設計の基準地震動を超えてしまうという事態になった。
そもそも浜岡は、巨大地震の巣の上にある原発なので、他の原発に比べても遙かに大きな地震を想定してきたとされていたのに、その原発がわずか6.5のしかも40km以上も離れた地震で超えてしまったのだから愕然とするのは当然である。
地下に揺れを増幅する地層があったという結論になっているが、実際はどうなのか、もっと多くの地震が発生して、データが増えなければ確実なことは分からないだろう。
東通原発で起きたことは、これに似ているのかも知れない。しかも浜岡よりも遙かに遠い地震だ。 東通村の隣の六ヶ所村は震度3である。この違いを合理的に説明する義務が東北電力にはあるだろう。
◇スラブ内地震の巣
北海道周辺は、度々大きなスラブ内地震が起きている。例えば93年に発生した釧路市南方沖の釧路沖地震は、深さ101kmでマグニチュード7.5、震度6が釧路市で観測されている。(震度5と6が強弱に分かれるのは96年以降なのでこの段階では「震度6/烈震」となる)
もっと浅い場所で、もっと大きな規模が起きることはあるのか。
既に太平洋プレートの地震では、実例があった。2006年と2007年に千島海溝において相次いだ地震である。このときのマグニチュード(モーメントマグニチュード)は実に8.3と8.1。で、6年の地震が海溝型に対し、7年の地震はアウターライズ型のプレート内地震だった。
今回の地震規模の500倍にも達する。
北海道近海で起きた地震としては、94年の北海道東方沖地震で、マグニチュードは8.2を記録している。これまではどちらかというと真上は海だった。そのため津波が度々発生している。これが地上であれば広範囲に震度7になり甚大な被害が地上で発生する。
具体的に言えば、六ヶ所再処理工場の向かいに位置する海溝から潜り込んでいる太平洋プレートで、このような地震が起きれば、もはや大被害は避けられない。
これが最後の警告だったと、後悔したくないのだったら、直ちに下北半島の原子力施設は閉鎖し緊急安全対策に集中すべきである。
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