2013年02月17日12時42分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎から】菅直人講演「東電事故 総理大臣として考えたこと」から 「東電は最初から被害者のような振る舞いだった」

 2月12日(火)にスペースたんぽぽで「東電事故 総理大臣として考えたと」菅直人さんの講演があった。(「反原発自治体議員・市民連盟」2月連続講座)元々市民運動から国政に出た管さん。福島事故で首相として考えた事は我々外野から見たものと違っていた。菅さんの印象では東電は最初から事故の被害者のような振る舞いだったと言う。国の基準通り原発を動かしてきただけで東電は悪くないと。 
 
 
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┗■1.250キロ範囲の避難なら5000万人が移動対象 
 │  そうならなかったのはいくつかの偶然の産物だった。 
 └──── 杉嶋 拓衛(たんぽぽ舎) 
 
 2月12日(火)にスペースたんぽぽで「東電事故 総理大臣として考えたと」菅直人さんの講演があった。(「反原発自治体議員・市民連盟」2月連続講座)元々市民運動から国政に出た管さん。福島事故で首相として考えた事は我々外野から見たものと違っていた。 
 
 冒頭で311の事故の前に原因があった。原発事故は起こりえないものとして被害想定はおろか対策もかなり杜撰なものだった。原子力災害特別措置法で原災本部長は総理だったが、事務局長の原子力安全保安院のトップには専門家が居なかったと暴露した。 
 経済産業省の中にあるとは言え東大経済学部の事務官のポストでしかなかった事務局長では福島事故に対応出来なかった。専門家と呼ばれているはずの人達が次々と起こる事故の先の展開が読めない。チェルノブイリ事故でさえ事故は1基だけだった。それが福島事故では第一と第二を合わせると10基の原発と11基の燃料プールが放置された場合の被害想定が管首相の脳裏に巡った。 
 
 ◆250キロ範囲の避難なら5000万人が移動対象 
 原子力委員会の近藤委員長にシュミレーションを願ったら、最悪の事故想定で半径250キロの避難が必要と出た。青森の南から神奈川県まですっぽりと入ってしまう。250キロ範囲なら5000万人が逃げないといけない。今回の事故は最悪だとそのレベルまで行く。5000万人の人間が逃げる。それも20〜30年は故郷に戻れない。国として維持出来るのかというレベルの事故。そうなら 
なかったのはいくつかの偶然の産物だった。福島第一4号機のプールの水が漏れずに残った事など。 
 
 ◆当事者意識の薄い東電 
 最悪のシナリオとは反対に東電は当初福島原発から撤退したいと言ってきた。それを許せば本当に大惨事になる。東電清水社長(当時)には残って対応してもらうようにお願いしたら了承された。菅さんの印象では東電は最初から事故の被害者のような振る舞いだったと言う。国の基準通り原発を動かしてきただけで東電は悪くないと。その意識のずれや最悪の事故など考えずに原発を動かしてきた 
事故当時の原子力行政の不備点が菅さんをして現地に行く事を考えさせた。 
 
 ◆使用済み燃料(バックエンド)について 
 現在フィンランドのオンカロのみに高レベル放射性廃棄物処理施設がある。10万年管理。実際には出来ないと思う。日本では青森県と政府の間に再処理の契約書があり、再処理しない場合は青森県から県外移設(原発サイトへ返還)しないといけない。原発ゼロという事はその話ともセットで考えないといけない。 
 
 感想 民主党政権時に福島事故は起きたが、原発を製造したのも稼働していたのも自民党政権の責任であり、現在何食わぬ顔で復興だ再稼働だと安倍政権がやっているのは違和感がある。事故の際に一国の首相が答えの無いギリギリの選択をベストを尽くした話として菅さんの話が聞けたのは良かった。事故の被害想定が凄く甘い(6兆円)と指摘していたのが印象的だった。また在野から原発ゼロを目指してたんぽぽ舍と頑張って運動を盛り上げたいなと思いました。 
 
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┗■2.「東電福島原発事故〜総理大臣として考えたこと」 
| 菅直人元総理が語る 
 └────(「反原発自治体議員・市民連盟」:事務局・岡田) 
 
 2月12日午後7時から同9時過ぎまで、スペースたんぽぽ及びたんぽぽ舎会議室で「反原発自治体議員・市民連盟」2月連続講座が開催された。2つの会場は申し込みで先着110人余りの参加者で熱気むんむんしている中、菅直人元総理が登場した。 
 
 菅氏は、一昨年3月11日の大震災後、起きた福島原発事故に、総理として実際にどう対応し、何を考えたか、特に、東京電力と原子力保安院とのやりとりなど、非常に興味深く話してくれた。 
 その中から、おもだった話をここにピックアップする。 
 
○原発事故の原因は3.11以前にあった。事故など起きるわけがないという認識のもとに何の準備もしていなかったから。さらにそう言った想定自体を拒否していたから。 
 
○原子力安全保安院のトップは原発の専門家ではない。 
 
○事故現場で何が起こっていて何をすればよいか分からなかった。事故が拡大しているのに先が読めない不安感で一杯だった。保安院に聞いても東電に聞いてもよく分からなかったので、自身でヘリに乗って現場に赴き、現場の責任者と直接話をしようと考えた。 
 
○事故現場では、チェルノブイリ事故の10倍20倍もの放射性物質が放出されていたことになる。 
 
○3/23に原子力委員会近藤委員長に「最悪のケース=10の原発と11のプールが制御不能になったら」を想定してもらった結果「事故現場から半径250Kmの範囲で避難が必要」との回答に、人工にして5、000万人、東京の9割、北は青森、南は神奈川、西は新潟までの広範囲に及ぶことに愕然とした。これは、最悪の事態を考える範囲を超えていた。しかも避難したら、10年や20年は戻れないことになる 
とも。 
 
○自身、以前から原発運動の皆さんと知り合ってはいたが、総理就任時は「原発は安全に運転していれば大丈夫」と考えていた。 
 
○東電マスコミ担当者が各社を回って「総理が注水をストップ指示」と報道させたが、本当は、東電が、廃炉を恐れて止めろと言った。 
 
○自民党森元総理のところに行って「自民党が菅内閣不信任案を提出してほしい」と進言したのは小沢氏である。 
 
○浜岡原発の停止は、当時の海江田経産大臣が賛成してくれたので決断した。 
 
○原子力規制委員会は、自主性・自立性が保たれているので今後そう簡単には再稼動は認めない。 
 
○安倍政権は、再生可能エネルギーにブレーキをかけるのではと懸念している。 
 
○以前の自民党政権時代、青森県と政府間で「六ヶ所村に使用済み燃料を運び込むが、再生処理をしない場合は速やかに県外に持ち出すこと」という契約書が作成されている。 
 
○私の目の黒いうちに原発をゼロにしたい。 
 
 休憩を挟んで、多くの質問が寄せられた。被災家族から内部被曝について、原発輸出について、規制委員会のパブコメについて、山口県上関原発についてなどの質問に菅氏は丁寧に答えた。 


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