2013年03月16日13時06分掲載
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中国
≪twitterから≫中国の多様性を見落とすな 伊波 洋一
中国に対して様々に良くないことが日本では報道される。中国に学ぶべきこと はないかのようだ。改革開放で多様な経済的取り組みに挑戦し、結果でプラグマティクに採用する仕組みは学ぶべきものがある。別の本では民主主義に似た自由 選挙も郷鎮で取り組まれ、国民意識の変化に対応する動きは続いている。日本の弱点は画一性。多様性を認めず一つの型に縛ろうとする。アメリカは合衆国で各州で税率も違うし法律も違う。多様性が当然。ヨーロッパも国と州と自治体では業務が区分され重ならない。日本は中央集権ですべてを国がコントロールしたがる。隣の中国もそうだと思ったら大間違い。
2010年の内閣府『世界経済の潮流』はアジア経済を報告。
http://bit.ly/Yb1F5n
購買力平価PPPベースで2030年に中国のGDPはアメリカの3倍、日本の10倍に。2009年でアメリカの2分の1、日本の2倍以上。
ノーベル経済学賞ロナルド・コース氏の『中国共産党と資本主義』第6章「一つの資本主義から複数の資本主義へ」が日経ビジネスに連載中。日本は毎年1回首相を変え“新たな成長戦略”をゼロから繰り返す。一方、中国では省市県鎮郷 の3万7375の各級地方政府が毎年様々に取り組む。
同書は「32の省級政府、282の市政府、2862の県政府、19522の 鎮と14677の郷の政府が地方経済の開発のしかたを実地に試みるとき、無数の異なる実験が同時に競い合うように行われる。試行錯誤にもとづく集団学習の 時間が大幅に削減され成功した慣行がすぐさま簡単に広まる。」という。
日本のように政権交代や首相交代で毎年リセットされる経済対策や諸施策とは 大違い。さらに画一国家日本では、全国で一つの施策しか取り組めない。年に1つの施策の日本と3万7375通りを試す中国とでは、成果に違いがでるのは道理だ。さらに、その反映で差はますます大きくなる。
成果ある省や市、経済特区、県郷鎮の党書記や長が上に抜擢される仕組みを通して広範な施策になっていく。成果の偽装、市場経済化で賄賂や横領、私物化も横行し、規律強化や悪弊排除も進む。しかしダイナミックに中国は変化する。図は内閣府資料。
2008年リーマン・ショクの年に、中国の30年にわたる市場経済への転換に与えられたドナルド・コースと『タイム誌』の賞賛「中国の奮闘は世界の奮闘である」「これはわれらの時代の偉大な物語だ。我々の、誰しもの物語―─中国だけではない」との評価は今も揺るがない。
同書によれば中央政府は省や市の経済特区や国有企業の改革を取り組んだが、 辺境の県鎮郷まで及ばなかった。しかし私有化と市場経済化の自由は各地で郷鎮企業に成功をもたらした。その成功が中央に取り入れられ省や国有企業改革に反映されることで市場競争で各地の工業化など経済活動が広がった。
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