2013年04月05日01時21分掲載
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米国
世界のベタ記事から 全米ライフル協会の提言
アメリカの学校では無差別乱射事件が普通に起きている。そこで米上院で銃規制について議論されている今月、NRA(全米ライフル協会)が招集した政策チームが提言書を出した。ニューヨークタイムズによると政策チームを率いたのはアーカンサス州の元下院議員(共和党)、Asa Hutchinton氏。
http://www.nraschoolshield.com/NSS_Final_FULL.pdf
この提言は「全米の学校の盾」(National School Sheild)と題されており、米国の学校をいかに銃の乱射事件から守るかを論じている。まず前提として学校のセキュリティが甘いと指摘。そこですべての学校に武装警官や武装警備員を常駐させるべきだとする。
さらに学校における拳銃所持に対する規制を緩和して、学校の管理者や教師らも銃を携えることができるようにすることを薦めている。こうした人びとが射撃の訓練も受けられるようにする計画があるようだ。
ひとたび銃の乱射が始まったら、警察官がかけつける間に次々に被害者が増えてしまう。だから、学校の中に銃を扱えるスタッフが常駐していれば危機に即応でき、被害を最小限に食い止められるという発想のようだ。はなはだしい場合は学校の中で、教師と生徒が銃を手に撃ち合うというような事態も起こりえる。
邪悪な力には正義の力で抗するという思想がアメリカ人にはある。全米ライフル協会会長のWayne LaPierre氏は同協会のウェブサイトでその信念を主張している。拳銃所持の自由は「人民の武装権」として、アメリカ憲法の修正第二条で保障されている。
「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない。」
アメリカ人は銃を手に英国と闘って独立と自由を勝ち取った歴史を原点に持つ。だから、国を創設した人々の精神を受け継ぐためにも銃を持つ自由を奪ってはならない、とするのである。近代英国の哲学者ロックは抵抗権を唱え、非道の政府に対して民衆が武器を手に抵抗する権利=抵抗権を唱えた。
「政府が権力を行使するのは国民の信託 (trust) によるものであるとし、もし政府が国民の意向に反して生命、財産や自由を奪うことがあれば抵抗権をもって政府を変更することができると考えた。抵抗権の考え方はのちにヴァージニア権利章典に受け継がれていく。」(ウィキペディア)
アメリカ人が銃の所有にこだわる理由がここにある。学校にも銃を導入しようとする全米ライフル協会はなんとも異常に見えるが、しかし、彼らなりの思想と信念がある。
■全米ライフル協会(NRA)
http://home.nra.org/
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