2013年04月11日16時23分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】東京電力・またも「想定外の」漏えい事件 地面に素掘りした穴に防水シートを貼っただけ 山崎久隆
日経新聞によると、地下貯水槽からの漏えいは、少なくても水位低下が起きていた3月10日頃からだった可能性があるという。それを4月5日まで「漏えいを確認できなかった」というのであるが、にわかには信じがたい。貯水槽に水位計を付けているのは、水位の変化で漏えいや侵入を見つけるためであろう。であれば監視装置があるはずで、水位の変化を警報するシステムになっているはず
だ。要は「警報が出ても漏えいかどうかは判断できなかった」または「漏えいしていても水の性質上大した問題が無いと誤解していた」かだろう。
漏えいしたものと同様の簡易防水シートで造った貯水槽は全部で7箇所もある。この事件を聞いてすぐに東電の膨大な量の資料を見直してみると、確かに3月28日付「滞留水の貯蔵状況」と名付けられた図面にローマ数字の1から7として「地下貯水槽」という表記があるが、示されているのはこれだけで貯蔵量も貯蔵されている水の性質なども何ら記載が無い。
細かい数字などが既述されているのは、既にこれまでも問題になって久しい「貯蔵タンク」の容量などである。量が示されているのは主に原発の地下に滞留する水の量や縮廃液貯蔵槽などの量だ。漏えいした地下貯水槽はいわば「眼中にない」あつかいである。その理由は、この施設は昨年11月に「汚染水処理の切り札」として新設され、現時点では一部運用している状態だかららしい。
大量の水は当然ながら産廃処分ではありえない、シートには高い水圧が常時掛かり、頻発する地震により液面が大きく動き、そのたびにシートは水の動きに引きずられてしわだらけになるだろう。数ヶ月程度の「やむなく使う」ような緊急性の高い場合ならばいざ知らず、2年も経って使うような構造ではない。
マスコミの目が地上に並ぶタンクに向けられている間に、とんでもないしろものが地下に建設されていた。
いざ漏えいが見つかっても、移送するだけに一週間もかかり、その間漏れっぱなしなのだから始末に負えない。
それにしても水中ポンプを急遽何十台も使えば、1日程度で移送が出来るだろうに。敷地内の漏れだから、たいしたことが無いといった発想のままであろうことが容易に推察される。
それだけで福島の人々にとっては耐えがたい苦痛を引き起こすことを、そろそろ真剣に感じて欲しい。
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