2013年05月04日12時40分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】「川内博史探検隊」ビデオを見て(3)爆発の起きた場所─5階は確か。そして4階も情況証拠から見て爆発  山崎久隆 

 4階に達したとき、ビデオには意外なものが映ります。上から光が降り注ぎ、まるで外に出たかのように明るいのです。これは一体何を意味するかというと、5階フロアの壁が吹き飛んだ際に、5階 
と4階の大物搬入口を塞いでいたはずの「鉄板」が飛んでいたのです。 
 
 しかし約1.5トンの板は、現在何処にあるか分かっていません。4階フロアに落下していたのならばとうに見つかっているはずですが、見当たらないのでおそらく5階フロアにあるだろうと思われます。 
 爆発の起きた場所─5階は確か。そして4階も情況証拠から見て爆発。 
 
 しかし5階フロアで爆発が起き、すさまじい爆風で天井が落ち、4階フロアもメチャクチャ、東電の玉井企画部部長も「瓦礫だらけ」と危険を指摘した4階フロアには、上から爆風が落ちてきたはずです。それなのに仕切りの鉄板は上に飛んでいったことになります。それは物理的には困難な現象でしょう。 
 
 実際、4階フロアの壊れ方は、とても5階の爆風によるものだけとは考えられないほどの惨状を呈しています。例えば、むき出しになった配管類。これら配管は全て断熱材が巻かれていました。多くはIC(非常用復水器)へとつながり、又、炉心へと送られる配管や、ICへの給水用の配管と思われますが、ビデオでは、どれがどの配管なのかはっきりは分かりません。しかしはっきり分かるのは、巻かれていたはずの断熱材がずたずたに引き裂かれていることです。中には配管の損傷を調査するために東電がはがしたものがあるかも知れませんが、総てがそうであるはずはなくICそのものを含めて引きちぎられたようになっている断熱材は、この場所で強力な爆発が起きたと考えた方が自然です。 
 
 また、天井にあるダクトの破損状況も相当なものです。ダクトも、内部から破裂したように見える損傷部分や外部から強力な爆風で押しつぶされたように見えるもの、あるいはもう引きちぎられて原型さえ止めないものなど、大量の残骸となってあちこちに散乱しています。これもまた、5階の爆風によるものというより4階で爆発があった証拠に見えます。 
 
 4階で爆発が起きる可能性は、この場所に水素が滞留することを意味しますが、5階フロアに出た水素が下に位置する4階に下がることはありません。4階で爆発が起きたとしたら、その水素は4階以下で圧力容器側から漏れ出したと考えられ、そうなれば圧力バウンダリからの漏出、つまり密封の破壊が考えられ、その原因が地震と原発事故情報によるものではないかと疑われるわけです。 
 4階フロアの破壊の状況をもっと詳細に検証し、どの方向から爆発の圧力が掛かっていったかを調べる必要があるのです。 
 
 ( 次号に続く) 


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