2013年05月21日16時29分掲載  無料記事
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政治

《twitterから》安倍・猪瀬・橋下「失言」と日本の右派への米国メディアの警告  内田樹

東京新聞の電話取材。安倍・猪瀬・橋下と続く「失言」の文脈について。アメリカのメディアが日本の右派勢力にはっきり警戒心を示し始めたのは1月ほど前からです。官邸はそのシグナルに気付き、首相は一気に発言をトーンダウンさせました。猪瀬都知事はNYT(ニュヨークタイムス)がダメもとで仕掛けた「トラップ」に引っ掛かったのだと思います。脇の甘い政治家に失言させて国際感覚の無さを叩き、「国内向け受けを狙った暴言」を抑制するという狙いです。狙い通り。 
 
 まず安倍の「侵略定義」発言をNYTが大きく取り上げ、「日本がナショナリズムを加熱させて西太平洋に軍事的緊張を起こすことをアメリカは望んでいない」というシグナルを送りました。 
 
 これで改憲や対中国、対韓国の暴走が止まるかと思ったところに橋下発言です。アメリカ政府もびっくりしたと思います。これだけ「わかりやすいシグナル」を送ってるのに無視された。この人物はアメリカに喧嘩売ってるのか単に知性が不調なのかわからないけど、とにかく看過しないということになった。 
 
 橋下市長は自分がどういう国際関係論的文脈で「虎の尾」を踏んだのかまだ理解していません。支持率低下の維新の会に参院選向けに国内右派の支持を取り付けるつもりで「これまで言ってきたのとと同じこと」を言っただけなのに「いきなり」アメリカの逆鱗に触れた訳ですから。 
 
 なぜこれまではスルーされていた「慰安婦問題についての暴言」を今回に限ってアメリカが咎めたのか。それについて少しでも考えたら、「潮目が変わった」ことに気づいたはずです。でも、維新の会には国際感覚のある人が一人もいなかったのか、彼は墓穴を掘り続けています。 


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