2013年06月03日12時14分掲載
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日印の核(原子力)協定を結んではならない理由◆ <上> 核兵器開発は平和利用の名の下に 山崎久隆
現在、核兵器を保有する国、又は保有したことがある国は10カ国。そのうち最初の5カ国は、いわゆる「核拡散防止条約前の」核兵器国であり、条約上は保有を容認されている。それ以後のインド、パキスタン、イスラエル、南アフリカ、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)については、核の「平和利用」を推進するIAEA体制のもとで核武装を完成させた国である。ただし南アフリカは1990年代に核武装を放棄している。
つまり「半分が条約外、または違法に」核兵器を保有したことになるので、条約がきちんと歯止めにならなかった例証である。さらに現在ではイランがそれに続こうとしているとし、米国が中心となり制裁を行っている。日本も国連安保理決議に基づく「対イラン核活動制裁活動」として、貿易関連について制裁措置を発動している。
他の国際条約により禁じている兵器(化学兵器等)には見られない「すりぬけ」が横行する理由は、核の平和利用と軍事利用の間に明確な境界などなく、核兵器を保有しようと「決意」すれば「平和利用」の名の下に収集、開発した知識と資材を投入することで、かなりのことが可能であること、また核兵器は他の大量破壊兵器と異なり、開発そのものが「抑止」(つまり核抑止)になると信じる国があるからだ。
一方で核産業は世界的に原発の建設が進むことにより潤うのだから「核輸出」を盛んに行おうとする。核の拡散は、片手に爆弾、片手に原発を持って利益を上げようとする核産業によって必然的に成されてきた。
なお、インドとイランが同じことをしていても、一方は「原子力開発」もう一方は「核活動」と言葉の使い分けが行われている。これこそが核の「平和利用」「軍事利用」が分けられるとする幻想に基づく言葉の使い分けで、日本特有の現象だが、この文章では一貫して「核」という言葉で統一する。
<次号へつづく>
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