2013年07月03日09時41分掲載  無料記事
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検証・メディア

ジャーナリストか、活動家か。

   今回、スノーデン氏がNSA(米国家安全保障局)の極秘データを託したジャーナリストの1人がガーディアン紙の米担当記者、グレン・グリーンウォルド(Glenn Greenwald)氏だった。グリーンウォルド氏は弁護士でもあり、個人のプライバシーを護る<活動家>でもあった。だからこそ、スノーデン氏は彼に情報を託したのだった。米当局はエドワード・スノーデン氏に今後刑事訴追をかける可能性があるが、同様に<活動家>グリーンウォルド氏に対しても国の秘密を公開したことを手助けした罪が課せられる可能性もささやかれているようだ。果たして、彼はジャーナリストなのか、活動家なのか。 
 
  そんなことから米国ではジャーナリストと活動家の間に線はあるのか。あるとしたら、どこなのかと言ったことが話題になっている。ニューヨークタイムズ紙ではコラムニストのデビッド・カー(Davidd Carr)氏がそれをめぐるコラムを書いたばかりだ。このコラムはこのテーマを巡って鋭い洞察を見せている。 
http://www.nytimes.com/2013/07/01/business/media/journalism-is-still-at-work-even-when-its-practitioner-has-a-slant.html?pagewanted=all&_r=0 
  この中でグリーンウォルド氏の回答が最も際立っていた。 
 
 「活動家か、ジャーナリストかということが問題なのではない。これは誤った二項対立だ。誠実か、誠実でないかが問題なんだ。活動家がみんなジャーナリストというわけではない。しかし、真のジャーナリストはみんな活動家なんだ。なぜならジャーナリズムには価値があり、目的があるからだ。それは権力をチェックする(牽制する)、ということなんだ」 
 
  権力をチェックする、という目的においてジャーナリストは活動家である、というのがグリーンウォルド氏の思想である。ジャーナリズムは単に出来事を中立的に報じるものではない、という考え方がそこに反映している。 
 
  そしてグリーンウォルド氏は<客観的なジャーナリズム>というものは一見公正中立に見えるが、実際には報道の目的を欠き、最終的には権力を擁護する結果になるともブラジルの自宅からCarr氏に電話で述べたそうだ。そうした彼の考え方を紹介した上で、Carr氏自ら、ジャーナリストが活動家である場合に注意すべき事項を書き添えている。 
 
■グレン・グリーンウォルド記者による「NSA、スノーデン氏、そしてジャーナリズムについて」(’Speaking on NSA stories, Snowden and journalism’) 
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2013/jun/29/speech-nsa-snowden-journalism 
 
■「デモクラシー・ナウ!」に登場しているグリーンウォルド氏 
http://www.democracynow.org/2013/6/18/glenn_greenwald_as_obama_makes_false 


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