2013年07月18日07時52分掲載
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文化
パリの散歩道 夏の飲み物
パリにも夏がやってきた。ここはセーヌ河の右岸に位置する4区のリボリ通り。後にそびえるのは「サンジャックの塔」。この塔はスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅の起点となっている。
さて、リボリ通り。道路には真昼にトラックが横付けされている。積荷は飲料だ。パリには基本的に自動販売機がないが、あちこちで飲料は売られている。ではいったい何が売られているのか?
写真をよく見ると、向かって右手奥に銀色に光っているのはアルミ製の生ビールの樽だ。やはりパリでビール派が増えているというのは本当らしい。さらにコカコーラのケース。そして、もっとよく見ると見覚えのある緑の地に黄色のロゴ。フランスの炭酸水の代名詞ペリエだ。
ペリエは地中海に臨む南仏・ガール県の地下水で、炭酸が源泉に含まれている。英仏版ウィキペディアによると、古代ローマ時代からスパとして利用されてきた土地柄だそうだ。今から150年前の1863年にナポレオン3世が地下水の商業利用の認可を出した。その後、地元の医師ルイ・ペリエ氏が泉を買い取ってスパを経営し、同時にミネラル水の販売も始めた。しかし、ペリエ医師は当地にフランス語を学びに来ていたリッチな英国人実業家ジョン・ハームズワーズ氏にスパを買い取らせた。この英国人はスパは流行遅れと見限り、ミネラル水の販売1本に絞ってボトル詰めを始めた。この時ハームズワース氏は泉を「ペリエ」とネーミングし、トレードマークになっている緑のボトルを使い始めたとされる。
そのペリエの隣のオレンジ色のケースには謎めいた文字が。OR・・・AL?真ん中はデザイン化されているが、おそらくVだろう。だとすると、ORVALになる。いったい何なのか?オルヴァルをインターネットで調べてみると、ベルギービールの銘柄が出てきた。オルヴァルとはその地ビールを醸造している修道院の名前だった。ウィキペディアによると「ヨーロッパでは飲用に適した水を確保するのが難しかったため、代わりとなる飲料が発達した。修道院でも中世の頃から保存の利く飲み物としてビールやワイン等が作られふるまわれてきた。」
オルヴァルに関してマイケル・ジャクソンが最高ランクに位置づけ、絶賛していたという。といってもこっちのマイケルは英国人のビール評論家のことだ。オルヴァルの収益は修道院の維持と慈善事業に充てられているという。
一方、ペリエがフランスの炭酸水なら、スイス生まれの炭酸水シュウェップスもあった。飲料トラックの中身はビール、炭酸水、コーラだった。
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