2013年07月29日13時40分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】米国電力会社が三菱重工業に損害賠償を請求 20年間保証の蒸気発生器がわずか1年で損傷 山崎久隆

 米国で蒸気発生器損傷で原発が廃炉になった事件。原因は三菱重工の設計ミス」。7月18日に三菱重工業に対してサザンカリフォルニアエジソン社から「紛争通知」が送られてきました。この通知書は、三菱との守秘義務に抵触する部分を除き日英二カ国語で公表されています。 
 
 そのうち日本語は下記のサイトにあります。 
http://www.songscommunity.com/docs/SONGS_MHI_NOD_jp.pdf 
 
 これに対する三菱重工業の反論も公表されており、下記のサイトに掲載されています。 
http://www.mhi.co.jp/notice/notice_130719.html 
 
 三菱重工は107万と108万kwの原発の、今後20年間の使用を保証していて、わずか1年で廃炉に追い込んだことになります。 
 三菱重工は、サンオノフレ原発の蒸気発生器に関して、契約上の賠償限度は1億3700万ドル(137億円)であるとし、それ以上の賠償を求める通知に対して、サンオノフレ原発向け蒸気発生器は「十分に確立され認められた規格・基準に加え、当社及び社外専門家の知見・経験を踏まえて設計され、SCE承認を得て製作されたものです。」と反論をしています。しかしサザンカリフォルニアエジソン社は廃炉と代替発電とで第二四半期300〜425億円の費用を計上することになるようです。 
 
 このニュースは日本では報道されていません。そのうえ「日本の原子力技術は世界一」などと根も葉もないデマ宣伝が与党政治家を中心に行われ、新たな「技術神話」が作られています。 
 
 今回の蒸気発生器損傷は、美浜原発2号機で1992年に起きた蒸気発生器細管破断事故を、大規模に引き起こしかねないものでした。そのためサザンカリフォルニアエジソン社は1983年と1984年に運転開始した原発の継続を断念し、2、3号機を廃炉にしました。 
 原因は蒸気発生器に取り付けられた熱交換用の細管が、運転中の蒸気や流水の振動でぶつかり合い、摩耗し、破損したこととされています。 
 
 これは過去に美浜原発2号機で起きた「触れ止め金具挿入ミス事故」を思い出させますが、こちらは製造ミスで、サンオノフレ原発は設計ミスです。 
 細管が連続的に大量破壊する事故は、従来の原発の事故では想定されておらず、発生すれば「想定外の異常事態」になります。 
 その際に蒸気発生器二次側圧力は急激に増加し、逃がし安全弁が開放して一次冷却水が大気放出するでしょう。 
 
 その結果一次側は急激に冷却水を失います。ECCSが作動すれば再冠水できますが、大地震と同時進行で電力喪失が起きていたら、福島第一よりも急激かつ破壊的な炉心溶融となるでしょう。格納容器内も大量の冷却材が漏えいすると思われます。 
 三菱がサンオノフレ原発に取り付けた蒸気発生器と同型のものは日本にはありませんが、蒸気発生器の大規模損傷は、地震の際にも起こりえるとしたら、同じリスクを抱えることにもなりかねません。 


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