2013年08月08日00時04分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】選挙が終わったら、「海に漏れたかも」 東京電力、海洋への放射能流出やっと認める 山崎久隆
ついに多くの放射能が海に漏れ出していたことを認めた。今まで東電は「地下トレンチに残っていた汚染水が漏えいしたかもしれない」と、溜まっていた汚染水の一部漏えいを示唆し、地下水系に混入した汚染水の追加放出の可能性は認めようとはしなかった。参議院選挙が終わり、ほとぼりが冷めたと思ったのか、7月22日月曜に突如として大量のデータを公開し、地下水に混入した汚染水が海中に漏えいしている可能性を否定できないと、やっと汚染水漏えいを認める会見を行った。
これまでも東電が事実を隠ぺいし、小出しに、あるいは後付けで事実を認めることはあったが、今回の汚染水問題は今まで以上にひどい対応だ。一体何時から、東電は汚染水の海中流出を認識していたのだろうか。
既に1カ月も前から規制庁は汚染水の海中漏えいを前提とする調査分析を指示していた。ところが東電は漏えいを知るために最も重要なデータである「地下水位」を測定しながら公表してこなかった。これさえ明らかならば、客観的に誰もが漏えいを確認できていた。東電は選挙前の金曜日まで「データは精査中」などとして出さなかった。このことが「恣意的」と見られる最大の理由である。
今回明らかになったデータで最も重要なのは地下水位のデータである。日により大きく変化をしているが、標準海面から上に最大1.8m、これが福島第一原発の地下水位である。つまり海面の上に地下水があり、「水は高きより低きに流れる」の理屈どおり海に向かって汚染水が流入していた。
東電は、データ発表の日と参議院選挙に何ら関係はないと言うが、到底そうは思えない。半年以上にわたり地下水位を計測し、潮位や雨量などとの相関を記録し、グラフにまでした。詳細な変動をグラフ化していたのに、日々の地下水データを公表できない理由などない。
▼データ隠ぺいの背景、悪質さ
実際に19日の記者会見でさえ、流出が疑われる汚染水について「データがないので判断できない」などとウソの発表を繰り返していた。地下水位を明らかにすれば、汚染水が海に流出していることを明らかにせざるを得ず、東電任せにせず「国も一歩前に出る決意」で対策を実行すると明言をしていた安倍内閣の責任問題にも発展する。そのために選挙後まで汚染水流出について何も「判断」を示さなかった。
またしても「データ取得してから発表するまで隠す」情報隠ぺいが問題となっているが、本質はここに「情報操作」が加わっていることだ。放射能が漏出していることが明確になれば、福島県の沿岸漁業は再開の見通しが立たなくなり、少なくても福島県の選挙結果に大きな影響を与えるであろう。発表を選挙後に遅らせたことで、大きく票が動く可能性を阻止したのではないか。そうなると与党側からそのような圧力が掛かっていないかどうかが問題になるだろう。
東電は「本質」を隠すために情報を小出しに、遅れて出すようにしているから、福島の現状は、遙かに悪化している危険性が高い。
最悪の場合は、これから止水壁を作っても間に合わず、大量の汚染水が大規模漏えいを起こして、沿岸のみならず太平洋に広く拡散し、海外で捕れる魚介類にもはっきりと放射能の影響が出る場合だ。日本は巨額の賠償請求を受け、国家破綻の危機に見舞われる。
また、このままでは取り返しの付かない海洋汚染を引き起こし、周辺の漁場に壊滅的影響を与える。
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