2013年08月09日02時25分掲載
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コラム
北欧の玩具 村上良太
北欧に行くとシンプルで素敵なデザインの家具に出会うことができる。しかし、家具は基本的に持ち帰りが難しい。だが、そんな大きなものでなくても、北欧のデザインを満喫できるものがある。木製の玩具だ。猿や河馬など様々な動物のデザインがある。
筆者が土産に買ってきたのは8センチくらいの小さな鳥の玩具だ。特徴は頭と胴体が分離していること。しかも、目が丸いのだが、その黒目と白目がちょっと独特のデザインになっている。白目がまるで三日月のようだ。だから、頭の角度を変えてやればいろいろ表情が変わるので楽しい。しかも胴体もひっくり返すと違った風情になる。職人が手作りしている木工製品で、手触りもすべすべして嬉しい。シンプルだけれど、日々、ちょっと手でいじって、動かして形を変えて遊べるところがいいのだ。
子供の頃、祖母の広い旧家を訪ねて一人で遊んだ記憶がある。子供の眼に、20畳間は広大な草原になり、畳の黒いヘリは果てしない道路になる。リアルなミニカーを持っていなくても、小さな金具1つが自動車に変身する。かぼちゃが馬車になるがごとくだ。部屋から部屋へ、やがて廊下に出て板張りを車は走り抜け、突きあたりまで来ると、今度は階段を上って二階の間に・・・。それは聳える巨大な山だ。金具を手に家中をドライブして冒険できた。北欧のシンプルな玩具を見ていると、そんな空想の中で遊ぶ子供時代の楽しさを思い出させてくれる。
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