2013年08月12日11時14分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】東電ついに「技術なし」 トレンチの汚染水「抜き取るめど立たず」 山崎久隆
日々、海に向かって流れる汚染水。漏えいしていることを認めたものの、東電には打つ手がない。7月29日には規制委員会が「海に近い「トレンチ」と呼ばれる地下のトンネルにたまっている汚染水が海に流れ出た可能性を指摘したうえで、トレンチの汚染水を抜き取るよう指示」(NHKニュースより)した。これで汚染水が取り除かれて漏えいが止まるかというと、残念ながらそうならない。
この指示に対して東電は「砂利の層に薬剤を入れて海に流れ出るのを防ぐとともに、ことし9月からトレンチの汚染水をいったん処理をして放射性物質を減らしたうえで、来年4月以降に抜き取る計画」を示した。つまり来年4月まで抜き取り作業を実施しないというのだ。
トレンチには後から後からタービン建屋などから高濃度汚染水が流れ込んでくることは否定しようもない現状である。
従来も東電は、問題が起きても原因を調査しても発表せず、再発防止対策とセットで説明することを常としてきた。再発防止策が思い浮かばないと、原因調査すらろくに行わないことも多々あった。今回はそれが最悪の状態で露呈している。
原因がつかめない段階では、問題の発生さえ認めなかったが、メディアの指摘でようやく漏えいを認め、さらに規制庁の指示があったため、それに従わないわけにはいかないが、出来ないことは出来ないわけで、結局来年4月まで汚染は放置するという。
実態は今も漏えいは続き、手をこまねいていれば来年4月どころか、このまま大雨に見舞われるようなことになれば大規模な漏えいさえ起こりかねず、さらに最近も震度4程度の地震が頻発していることから、地盤の緩みなどが同時進行して取り返しのつかない事態になる危険性が日々高まっている。
どうか、東電を現場から外して、もっとちゃんと対策を実施できる機関が責任を持つべきだ。規制庁は再稼働などを審査する前に、福島第一からの放射能漏えい対策に全力を投入する必要がある。
この追加漏えい事件は、原発再稼働に前のめりになっている原子力ムラにこそ、最大の責任がある。
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