2013年08月20日20時51分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201308202051162

欧州

パリ郊外でイスラム女性への罵倒と暴力が頻発 背景に「イスラム嫌い」(Islamophobie)の政治的利用も

 パリ西部郊外のトラップ地区(イブリーンヌ県)で12日17時45分ごろに16歳の若い女性が女友達に電話をしながらバスの停留所に向って歩いていると、クリオの黒色の車がついてきた。二人の頭髪を短く刈った男性が車から出てきて罵倒しながら彼女の顔を覆っていたイスラム女性のフラー(頭部を隠す被り物)をむしり取り腹部や肩などをなぐって暴力をふるい、紙きりナイフで脅したとラジオ・フランス・ブルーで証言している。13日の仏国営ラジオ・フランス・アンフォなどが報道している。(飛田正夫) 
 
 若い女性は友達の消防署への知らせでトラップの私設病院に運ばれ治療をうけていたが、13日になってから警察に訴えを出した。女性は顔と頸部に傷を受けたが軽症だと警察ではいっている。医者の診断結果はまだ報道されてない。訴えの中で女性は「イスラム嫌い」(Islamophobie)の罵倒をうけたのだといっている。 
 
 パリ西北部のヴァル・ド・オワズ県アルジャントゥィル市でも5月と6月に同様な「イスラム女性への暴力事件」があった。 
 
 マニュエル・バルツ内相は記者会見Dans un communiquéで、「新たな憎悪の反イスラム的行為は共和国の価値を傷つけるものである。その行為は許されない。厳しく裁く」とのべている。 
 
 ブノワ・アモン経済社会・連帯相は、「この新たな人種差別の行為に厳しく対処し裁いてゆく」とフェースブック un communiqué publié sur Facebook. で言っている。 
 
 フランスではサルコジ前大統領がこの「イスラム嫌い」(Islamophobie)という人種差別の動きを政治的利用し、メディアを使って民衆操作した疑いが強い。社会党政権でもフランス人の「イスラム嫌い」を逆手に取り、そこに利用価値を見出しているようにも見られないことはないようだ。 
 
 フランスの様な移民の多い文化的に複雑な国家では人種差別の政治的利用が繰り返し準備されているようで気になる。イスラム女性のフラー問題はいつでも存在し、好きな時に取り出してスキャンダル化できるものであり、消滅することはないのかもしれない。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。