2013年08月22日12時37分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】建屋は地下水に浮いたコンクリートのハコ(上)汚染水問題で福島第一原発が、震災以来最大の危機を迎えている 山崎久隆
汚染水問題で福島第一原発が、震災以来最大の危機を迎えている。ところが、その危機の全貌は東電からも規制庁からも明らかにされていない。現実には高濃度汚染水の流出問題に加えて、建屋への大規模な浸水と液状化、建屋傾斜あるいは倒壊の危機すら迫っている。
福島第一原発の建屋周辺には「サブドレン」と呼ばれる地下水くみ上げ井戸が作られており、事故前には毎日地下水が汲み上げられて海に放出されていた。1号機と2号機の周辺には27本、3号機と4号機の周りには30本、しかし地震と津波の影響で使えなくなり、昨年5月までに、いくつかの井戸を汚染浄化対象として汲上が再開されたものの大半は動いていない。
地下水対策は大型構造物に必須であるのに…東京駅の対策の実例
地下水対策は、地下構造を持つ建物にとっては必須であることは、東京駅や上
野駅の地下水対策を見ても分かる。
東京では高度経済成長期に大量の地下水が工業、上水目的で汲み上げられてい
た。そのため大規模な地盤沈下が発生し、ゼロメートル地帯が出現、大雨や高潮時の度重なる浸水被害や建物が破壊されるなどの影響が出てしまい、地下水の汲み上げを規制した。地下水位は徐々に回復し、地盤沈下は収まったが、こんどは地下水の水位上昇により地下構造への浸水や建物の浮き上がりが問題になった。
例えば東京駅の場合、地下水位は駅の建設時で地下35mあったのが、2000年段
階では地下15mと、20mも上昇している。最下層には総武横須賀線が入っている
が、この地点は地下27mで、建設時は地下水位よりも高かったが今では「水没」している。そのため大量の地下水が流入する。対策として毎日4000トンから5000トンも汲み出している。さらに駅構造は空洞なので、ほっておけば浮き上がる。駅舎やトンネル構造に重大な損傷を招くから、それを防止するために「グラウンド・アンカー」と呼ばれる鋼鉄製の重りを大量に入れている。1999年段階で総数は130本に達し、1本あたり100トン相当の浮力に対応できるそうなので、13000トンもの浮力を支えている。
地下水(総武線馬喰町駅に汲み上げポイントがある)は総武・横須賀線の脇に設置された配管で品川区を流れる立会川に放流している。地下水はきれいなので以前は東京でも一、二を争う汚い河川が排水のおかげで浄化され、ボラの大群が遡上し話題になっていた。
〔つづく〕
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