2013年10月18日07時53分掲載  無料記事
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米国

オバマ大統領に軍配が上がる  ワシントンDCの政治闘争

   財政破綻に直面し、債務上限を引き上げるかどうかをめぐり、10月の頭からオバマ政権と、議会の多数派を占める共和党議員との間で政治の攻防が繰り広げられてきた。その間、行政府ワシントンDCでは一部の政府機関も閉鎖を余儀なくされ、公務員たちも休業を強いられていた。しかし、およそ2週間後の10月16日、両派が債務上限を上げることで合意に達し、公務員たちも職場に復帰することになった。ルモンド紙など欧州メディアでは今回、議会の共和党勢力に妥協しなかったオバマ大統領に軍配が上がったと評価している。 
 
   2011年夏の米債務危機の時を振り返れば、財政破綻の淵に立たされたオバマ大統領が債務引き上げのために共和党に相当の妥協を求められた。特に赤字財政解消のための厳しい債務削減プランの作成を求められた。これはその後のオバマ政権の政策を縛る枷になった。 
 
  その頃、アメリカではノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンをはじめ、多くの識者がオバマ大統領は妥協すべきではない、と批判していた。大統領には議会の抵抗を跳ね返す権限が与えられているのだから、最後の最後まで戦い抜くべきだ、と彼らは一斉に論じたのだ。 
 
   2011年夏のオバマ大統領の妥協的な姿勢が、2008年の大統領選でオバマ大統領を支持した人々を失望させ、一時はオバマ大統領の再選は無理、共和党大統領誕生か、との観測も生んだ。しかし、2012年の再選のための選挙遊説期間中、オバマ大統領は前回オバマ大統領支持者だった有権者から見放され始め、崖っぷちに立たされたことで何かが変わった、と言われている。そして今回、オバマ大統領は「オバマケア」と呼ばれる健康保険制度などを骨抜きにしようと試みる共和党との妥協を拒み、2011年夏の雪辱を晴らすことができた。 
 
  ルモンド紙によると、行政府の機能停止は1976年以来、18回目になるそうである。歴史にifは禁物とされるが、もしシリア戦争に突入し、さらにその延長線上のイランとの戦いまで飛び火していれば、債務上限引き上げどころではすまなかっただろう。オバマ大統領がシリア攻撃と、財政破綻問題をどうしようと考えていたのか、シリア制裁論はイラン懐柔のためのブラッフだったのか、ホワイトハウスの内情を知りたいものである。 
 
 
■ニューヨーク・タイムズ 
  ’Signs Indicate That Obama’s Debt Ceiling Gamble May Be Paying Off’(合意:オバマ大統領は債務上限問題の賭けに勝利) 
  投資家ウォーレン・バフェット氏が今回のオバマ大統領の戦いを、キューバ危機に臨んだケネディ政権に例えている。ケネディ大統領とフルシチョフ書記長とのかけひきに匹敵する、と言っているそうだ。ここで大統領が一歩でも譲歩したら際限なく譲歩を求められる、という冷徹な認識からである。 
http://www.nytimes.com/2013/10/16/us/signs-indicate-that-obamas-debt-ceiling-gamble-may-be-paying-off.html 


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