2013年11月06日12時04分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201311061204203
アフリカ
【西サハラ最新情報】 アルジェリアを挑発するモロッコ 平田伊都子
「国連は早急に<国連西サハラ住民投票>を施行し、アフリカ最後の植民地を解放する義務がある」と、2013年10月29日にアルジェリア大統領ブーテフリカは表明しました。 この発言を逆手にとって、西サハラを植民地支配するモロッコはヒステリックにアルジェリア攻撃を始めました。 モロッコは、人の嫌がる事や誇りを傷つける事を、平気でわざとやって、神経を逆なでするのです。 その異常さは、なにゆえなのでしょうか?
(1)2013年10月30日、アルジェリア大統領ブーテフリカの表明に反発したモロッコは、アルジェリアに駐在するモロッコ大使を本国に召還した。「西サハラなんて存在しない。あるのはモロッコ地方州の南サハラだ。アルジェリア大統領はモロッコ王国とモロッコ王国の主権を侮辱している」というのが、モロッコ大使召還の理由だ。モロッコは、あらゆる手段と方便を使って、西サハラの領有権を固持しようと企んでいる。
(2)11月1日、モロッコのカサブランカにあるアルジェリア総領事館では、アルジェリア独立記念日を祝っていた。そのおめでたい雰囲気を破って、アルジェリアを罵倒するシュプレヒコールがアルジェリア総領事館を包囲した。モロッコ王国の嫌がらせ官製デモだった。領事館の警備に当たっていたモロッコ警官は、腕組みをしてモロッコ人暴徒を眺めていた。アルジェリア外務省はモロッコ王国に事件の説明を求めるとともに、アルジェリア人外交官と民間人の保護を強く要求した。
(3)11月2日、「世界のどの国も西サハラに対するモロッコの領有権を認めていない」と、アルジェリア外務大臣アンマル・ベラニイはアルジェリアの新聞に声明文を発表した。その上で、「アルジェリアは西サハラ紛争当事者ではない。両当事者の隣人だ。しかし、アルジェリアは歴史的真実に基づく国際法を尊重している。そしてその国際法は、西サハラ民族が彼ら自身の将来を決めるための<国連西サハラ住民投票>を認めている。アルジェリアも当然、<国連西サハラ住民投票>を支持している」と、明言した。
(4)11月2日、元駐スペイン・アルジェリア大使アブデル・アジズ・ラハビはロンドンの<アル・クドウス・アル・アラビ>紙のインタヴューに応じ、「駐アルジェリア・モロッコ大使のモロッコ本国召還は、考えれない外交暴挙だ」と、モロッコ王国の無礼を非難した。そして、「アメリカ国務長官ケリーの難民キャンプや西サハラ訪問を延期させているのは、まさにモロッコのデマと妨害なのだ」と、付け加えた。さらにアブデル・アジズ元大使は、「モロッコは、<西サハラ問題はモロッコVSアルジェリア両国の問題>という間違った宣伝を濫発して、国際社会から西サハラ民族を抹殺しようと企んでいる。両国の問題ではない。西サハラ問題は国連が指導する、西サハラ民族による<脱植民地化>の問題なのだ」と、強調した。
外交常識を無視したモロッコの無礼な挑発に関して、「アルジェリアがモロッコのサハラ領有権を否定する発言をしたことに対する、正当な報復だ」と、フランス元老院議員クリスチャン・カンボンがMAP(モロッコ情報機関)の依頼に応じて、モロッコ擁護コメントを出しました。
彼の言質をとったモロッコは、「フランスはモロッコの立場を支持している。モロッコのサハラ領有権は勿論、モロッコのサハラ地方自治州案に賛成している」と、拡大しています。 こうして、あたかもフランスとモロッコが一体となって西サハラの独立運動に反対しているという宣伝を繰り広げていくのです。
ナチの宣伝、たばこの宣伝、薬の宣伝、、宣伝ほど罪なものはありません。
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2013年11月6日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。