2013年11月09日04時21分掲載
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欧州
欧州も日本と同じ病に リーマンショック後、金融が収縮へ 〜スティーブ・ハンケ教授の分析から〜
日本で1991年にバブル経済が崩壊した後、銀行はバランスシートを健全化するために、融資を縮小し、自己資本比率を向上させることを求められた。そこで起きたのは貸し渋りや貸し剥がしだった。そのため、小さな企業が次々と倒産し、失業者が増え、賃金は下降し、自殺者が3万人を超え続けた。日本経済は10年を越える失われた時代を作ってしまった。
米ジョンズ・ホプキンス大学のスティーブ・ハンケ(Steve Hanke)教授の分析を読むと、リーマンショック以後、欧州でも同様の事態が進行している可能性がある。’Center for European Policy Analysis’11月5日号に書かれた文章によると、通貨の総供給量を示すマネーサプライ(M3)は増加しているが、融資額は増えていない。そのギャップが顕著に現れている。
http://object.cato.org/sites/cato.org/files/articles/more-credit-more-money-hanke.pdf
ハンケ教授はポーランドの例をとって説明しているが、IMFが欧州金融機関のバランスシートの改善を最優先するあまり、市中への融資が縮小し、ビジネスが萎縮し、実体経済が悪化しているというのだ。ちなみにフランスでは失業率が10%超である。
■フランス農民の知られざる悲劇 2日に1人自殺 金融危機が牛の酪農家にしわ寄せ
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金融収縮が起きている欧州連合地域は今、カナダと自由貿易協定を結んだばかりであり、さらにアメリカとの自由貿易協定を結ぼうとしている。それと期を同じくして、遺伝子組み換え作物の解禁やホルモン肥育牛の輸入が解禁されることになる。安い農作物や工業製品が流入し、欧州全体がデフレスパイラルに向かう可能性がある。こうなると、欧州のアンデンティティも見直さざるを得ないことにつながっていく可能性がある。安かろう、悪かろうの時代が欧州についにやってくれば夢も色あせ、観光業も衰退するだろう。
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