2013年11月25日08時26分掲載
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アフリカ
【西サハラ最新情報】 モロッコ王、オバマ大統領に直訴 平田伊都子
ケネデイー暗殺50周年記念日の11月22日午後2時40分、場所はアメリカ大統領府ホワイトハウス、モロッコ王モハンマド六世はアメリカ大統領バラク・オバマに直訴しました。 「西サハラに対するモロッコの領有権を、アメリカが認めるように」という請願です。 西サハラは国連を始めとする国際社会が、<アフリカ最後の植民地>と規定し、西サハラを占領支配するモロッコの領有権を、認めていません。 国連は<アフリカ最後の植民地>を平和的に解決するため、<国連西サハラ住民投票>を提案しています。 西サハラ住民自身がモロッコに帰属するか独立するかを決めるという提案ですが、モロッコはそれを拒否しています。 モロッコは、アメリカの支持さえあればいいと思っています。
以下に、西サハラ略奪を目指す活発なモロッコ外交活動を、お伝えします。
(1)2013年11月、ヨーロッパ関係国とモロッコとの間で<西サハラ領海を含む漁業契約>が結ばれた。西サハ難民政府やアルジェリアや国際NGOなどが、ヨーロッパ議会に対してこの契約を破棄させる決議を出すよう働きかけている。西サハラは国連が規定する未確定地域で、西サハラ領海もこの規定内にある。従って西サハラ領海内での漁業生産活動は国際法に違反する。モロッコ産と称して日本のスーパーに並ぶタコや大西洋クロマグロなどの多くは、国際法に違反する密漁海産物である。
(2)Cairn Energy PLCとKosmos Energy LLC とがモロッコと石油生産契約を結んだ。「西サハラ領海内の海底油田で採掘を予定」と、発表した。西サハラは国連が未確定地域と規定し、この地域の天然資源に手を出すことは禁じられている。2002年、国連事務総長司法アドバイサーのハンス・コレルが、「西サハラ住民の利益と意志に反する西サハラ天然資源の開発は、国際法に反する」と、警告している
(3)NGO<アメリカ西サハラ財団>議長スザンヌ・ショルツ議長がオバマ大統領に宛てて、次の様な要請書を送ったと発表した。「あなた(オバマ大統領)がモロッコ王に会う時、国連が約束したまま放置している西サハラ住民投票を実現させるべく、モロッコ王に圧力をかけることをお願いしたい」というのが、要請書の骨子だ。この要請書をオバマが読んだのかどうかは、明らかにされていない。
(4)西サハラ難民政府は、「2013年11月23日に公表されたアメリカとモロッコの共同声明の中で、西サハラの脱植民地化に関して特筆すべき一節があった」と、西サハラ難民キャンプの難民に発表した。さらに西サハラ難民政府は、「共同声明は、38年以上に及ぶ西サハラ住民に対するモロッコ占領当局の人権侵害に注目し、アメリカの人権擁護支援に感謝している(?)」とか、「共同声明は<国連西サハラ住民投票>を支持する国際社会に賛同(?)」とか、伝えている。モロッコがそんな共同声明にサインするわけがない?!
(5)11月21日、マラケシュ・ユダヤ集団会長のジャッキー・カドシュは、モロッコ日刊紙で「モハンマド六世が統治するモロッコは、イスラエルに対するアラブ友好国のなかでも一番の友達だ」と、モロッコ王のイスラエルひいきを強調した。モロッコ王国の中に、イスラエルは強力なユダヤ・ロビーを作っている。
何故、モロッコ王は西サハラを手放したくないのでしょうか?三つの大きな理由があります。 西サハラを失うことは、モロッコ王が未開の漁業資源と鉱物資源を失うことになります。 次に、西サハラ略奪を王命としてきたから、モロッコ王は王威を失います。 三番目に、西サハラに送り込んだ170,000の兵士(元不満分子)と160,000の入植者(元失業者)が本土に帰還すると、社会不穏が起こり、<モロッコの春>が勃発する可能性があります。 西サハラ喪失はモロッコ王政崩壊につながる恐れがあるからです。
一方、西サハラ難民政府自身は何もしないで、西サハラ支援者に嘆願書を送らせるぐらいで、「待てば海路の日和あり」を決め込んでいます。 共同声明文を自分たちの都合のいいように解釈して、難民キャンプの<サハラ・プレス・サービス>に発表しています。
確かに、モロッコが西サハラを不法に占領支配しているのが悪いことは、国際社会の常識です。 しかし、情報を捻じ曲げたり捏造するのはいけません。 西サハラ民族の大義も偽造品かと疑われてしまいます。
こんなんでいいの??なんかやることあるでしょ! こいじゃ、必死になってるモロッコの王様に負けちゃうよ!!
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2013年11月25日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
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