2013年11月29日05時47分掲載
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文化
ファシズム研究の山口定氏、亡くなる
今月17日、ファシズム研究に取り組んだ山口定(やすし)大阪市立大学名誉教授・立命館大学名誉教授が亡くなった。東大法学部卒業。79歳だった。
山口氏の専門は欧州政治史でドイツのファシズム研究では第一人者だった。ナチスが政権を奪うまでの過程を分析した著書もあれば、戦後の新たな極右運動を分析紹介した本もある。ベルリン自由大学でも教鞭をとっていた。今春、ドイツ文学の岩淵達治学習院大学名誉教授も亡くなり、ファシズムの時代と戦後史を批判的に見つめ、考え続けてきた貴重な2人の研究者を失ったことになる。
麻生副首相が改憲にあたってはナチスの手口に習うという発言をしたことが問題になったが、政権党の政治家の方が野党の政治家よりも歴史から多く「学んでいる」ということだろうか。そもそも近年では町の普通の書店から歴史書や政治学の本が消えているのが実情である。
■山口定氏の著書
「ナチ・エリート 〜第三帝国の権力構造〜」(中公新書)
「ヒトラーの擡頭 ワイマールデモクラシーの悲劇」(朝日文庫)
「現代ヨーロッパ政治史」(上下 福村出版)
「政治体制」(東大出版会)
「ファシズム」(岩波現代文庫)
「現代ファシズム論の諸潮流」(有斐閣)
「ヨーロッパ新右翼」(共著 朝日新聞社)
「市民社会論」(有斐閣)
ほか。
■山口定著「ファシズム」(岩波書店)
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■ダッハウ強制収用所の1枚の絵
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■追悼 岩淵達治氏 (演出家・ドイツ文学者)
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