2013年11月30日20時15分掲載
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政治
秘密保護法、衆院強行採決で舞台は参院に 福島公聴会でのアリバイ作りは許せない 上林裕子
政府は11月26日の衆議院国家安全保障に関する特別委員会で「特定秘密保護法案」を強行採決し、同日本会議を通過させた。前日、福島で急きょ行われた公聴会では、出席した7人の参考人全員が法案に反対意見を述べるという異例の公聴会となった。しかし、福島の市民は「公聴会とは名ばかりで、傍聴席が開いているにもかかわらず市民の傍聴は一切認めなかった」という。市民の反対をよそに、審議の場は参議院に移った。
まさか福島の公聴会の翌日に強行採決はないだろうと誰もが信じた、いや、信じたかった。しかし、26日に額賀議長は職権で安倍首相の出席を要請、議場内にはNHKの中継カメラが準備されていた。野党が慎重審議を求めるのを押し切り、どうしてもこの日採決をする、と言うのが官邸の意向だったという。
福島で公聴会を行った25日の夕方の委員会で、自民党は自公、みんな、維新で合意した修正案の趣旨説明を行った。この修正案についての協議が一切なされないままに翌日強行採決に至った。
強行採決を警戒した市民はこの日、朝8時から官邸前に集まり法案の廃案を求める集会を行っていた。北海道の教職員組合が議員会館前で座り込みをしていた。議場で傍聴していた市民、朝の集会後国会の外で審議を見守っていた市民、強行採決を知って駆け付けた市民や労働団体など500人が議員会館前に集まり、抗議の声を上げた。
翌27日、市民団体が開いた集会に参加した郡山市の人見さんから公聴会についての報告があった。人見さんはたまたま参考人の1人に配られた傍聴券で中に入ることができたが「市民のための傍聴券は全く用意されていなかった。50枚の傍聴券はすべて政党等に配られ、一般市民は全く入手できなかった」「傍聴席は150席ほどあり、配られた50席のほか報道関係者が50席ほど、あとの50席ほどは空席だった」「額賀議長に、空いているなら市民を傍聴させるように求めたが結局は認められなかった。結局福島はアリバイ作りに使われた」と憤る。
公聴会の7人の参考人全員が法案に反対の意見陳述をしているがこれも異例なことだ。参考人の1人、浪江町の馬場町長は次のように述べている。「意見陳述のために町民や識者の意見を聞いた。『秘密の保護ではなく情報公開が原則ではないのか』との意見や、『国に守るべき秘密があるのはわかるが、新たに秘密を作る必要があるのか』との意見があった」
「浪江町は国がスピーディの情報を公開しなかったために、避難の際に何の情報もなく、高線量の放射能のほうへ避難してしまった。スピーディをいち早く公開してくれれば、不要な被ばくを避けることができたはず。これは情報公開そのものの事象だ」「わたしたちは民主主義の根幹である憲法に保障された幸福追求権、生存権、財産権のすべてが侵害されている」「必要なのは秘密ではなく、情報公開が一番大切なのだ」。
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