2013年12月16日09時35分掲載
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憲法
NYTが社説で安倍首相の傲慢さを非難 憲法改正案の危険な性質を指摘 世界に向けて警報を鳴らす
アメリカの代表的新聞の1つ、ニューヨークタイムズが12月16日付の社説で再び特定秘密保護法案の危険性を指摘した。しかも、法案可決前の前回の社説と比べると、今回は非難の度合いが一段とスケールアップしている。'Japan's dangerous anachronism〜Prime Minister Abe invokes the past to justify a chilling state secrecy law〜’(日本の危険な時代錯誤〜安倍首相は背筋の凍る特定秘密保護法を正当化するため戦前の日本を呼び戻す)と題された社説である。
「共同通信の世論調査で82%が特定秘密保護法案の廃案か修正を希望していた。それにも関わらず、安倍首相は傲慢にも大衆の不安を受け止めることはなかった。」
さらに自民党の世論無視の姿勢を「Showing an alarming ignorance of democracy (民主主義の無視にもほどがある)」と非難した。こうした性格の安倍政権の目標が改憲にあると述べる。
「特定秘密保護法は安倍政権が進める「美しい国」に向けた日本の改造工程の1つである。その理想は国家が強力な権力を国民に対して保有することであり、個人の権利を保証する制度を削っていくことである。これは愛国者の一部から強力に支持されているものだ。」
社説では日本国民の基本的人権が〜知る権利に限らず〜制限される民主主義の危機であることが明確に述べられている。その頂点が改憲にあるとしている。つまり特定秘密保護法案の危険性だけでなく、改憲の可能性も射程に入っていることを指摘している。そこで注目されるのが自民党の憲法改正案の次のような点だという。
’It also says the prime minister will have the power to declare a state of emergency and suspend ordinary law'
「自民党の憲法改正案では首相は国家の非常事態を宣言する権限を有し、既存の法律をその間、無効にすることができる」
首相が非常事態を宣言すれば既存の法律がどんな法律であろうと、首相の判断で停止される可能性がある。これは戒厳令という言葉を思い出させるものだ。戒厳令と言えば東欧諸国や中南米の独裁国家のもので、まさか日本がそういう事態を迎える可能性があるとは信じられないものだ。だが、それが現実化しつつあるとニューヨークタイムズは今回、世界に向けて大きく警報を鳴らしている。
■NYT ’Japan’s Dangerous Anachronism ’
http://www.nytimes.com/2013/12/16/opinion/japans-dangerous-anachronism.html?_r=0
■NYTの前回の特定秘密保護法への批判記事'Japan's Illiberal Secrecy Law(10月30日)'を紹介した記事
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201310301949063
*以下の書籍はファシズムの研究者によるものである。ファシズムは戦争(有事)のための国家総動員体制をその本質とする。そのため独裁権力は法律を破壊し、時局に応じて自由に法律を作り変えられる体制を目指す。強大な警察機構を基盤に監視密告を市民に強要し、内部に敵を絶え間なく作り出しその求心力を維持する。
■山口定著「ファシズム」(岩波書店)
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