2013年12月23日12時04分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201312231204221
憲法
「特定秘密保護法に反対する学者の会」 〜賛同者の数は全体のどれくらいか〜
特定秘密保護法が表現の自由や研究の自由を妨げるとして、「特定秘密保護法に反対する学者の会」が発足し、多くの学者が反対の声をあげた。会の賛同者は12月15日現在で5042名に達した。勇気ある行動である。よくこれだけ集まったものだ。
しかし日本全体の学者の中で、5042人はどれくらいの割合なのだろうか。文部科学省の統計を見ると、大学の「本務教員数」(2012年統計)は17万2728人である。この数字は助手、准教授、教授、副学長、学長を含んでいる。「特定秘密保護法に反対する学者の会」への賛同者は、割り算して驚いたのだがこれら「学者」全体の2.9%に過ぎない。3%にも達しないのである。最初は桁をひとつ間違ったかな、と3回計算し直した。だが、2.91%なのだ。「兼務」も含めると、教員は20万人を超えるから、さらに割合は少なくなる。
とはいえ、2.9%という割合は問題じゃないと言う人もいるだろう。このような動きは2.9%でも大きな象徴的な意味があると言えばある。確かにそうである。ノーベル賞学者も入っているし、著名な学者も多い。だから、学者の会の行動は決して小さくない。
しかし、それでは、どのくらい現実に政治力を持つのだろうか。賛同に名前を連ねない97%の学者が存在するのである。なんといってもこちらが日本の学者の圧倒的なマジョリティなのである。そこが知りたいところである。もちろん、反対の意思表示は会に入らないとできないわけではないから、これが学者の反対の声をすべて拾っているわけではなかろう。それでも、もし2.9%がいつまでも2.9%のままならば、いずれは特殊な傾向のある学者の会、というようにイメージが固定化されてしまうリスクもあるのではなかろうか。そしてまた市民や若者が総じて日本の「学者」を見る目も変わるかもしれない。
■政府統計から(学校教員統計)
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001038417&cycode=0
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。