2014年01月23日19時23分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201401231923544

欧州

オランド大統領の女優との不倫を報じた雑誌 〜その号は売り上げ2倍に 〜女優は雑誌をプライバシー侵害で告訴 〜オランド大統領の支持率は30%以下 〜報道の背景は?

  今月はフランソワ・オランド大統領にとって女性スキャンダル騒動の月となった。英国のインディペンデント紙によると、オランド大統領の女優とのスキャンダルを報じたフランスのCloser誌はその号の売り上げが60万部となり、通常の2倍になったと言う。報道によるとオランド大統領はエリゼ宮から遠くない場所にバイクで出かけたところを写されたとされる。 
 
  一方、密会をスクープされた女優のジュリー・ガイエ(Julie Gayet)さんは私生活を侵害されたとして、5万4千ユーロの賠償金(および訴訟費用)を雑誌に求めて告訴していると言う。 
http://www.independent.co.uk/news/people/julie-gayet-sues-closer-magazine-over-franois-hollande-affair-photographs-9065108.html 
  オランド大統領の事実婚の相手、ヴァレリー・トリールヴァイレール(Valérie Trierweiler)さんはこの騒動を機にショックから入院したと報じられている。また、オランド大統領の元妻はセゴレーヌ・ロワイヤル氏(社会党の元大統領候補者)である。英国の新聞では3人の美女の顔写真が並べられている。ロワイヤルさんにとってはいい迷惑だろう。英国の新聞はオランド大統領の過去に遡って今回のスキャンダルを報じている。さらにはフランス歴代大統領の私生活の傾向も分析されている。 
http://www.telegraph.co.uk/women/sex/10573859/Francois-Hollande-The-real-reason-French-women-are-now-turned-onto-him.html 
  英国のテレグラフ紙は今回のスキャンダルで意外にも女性の間にオランド大統領支持が増えたという謎めいた情報を掲載している。これにも諸説あり、オランド大統領が結婚における男女同権の法案を通したことが大きいと見る人もいるようだ。 
 
  ニューヨークタイムズでは社説でもこの件を論じたが、また同新聞にルモンドの元編集主幹がこの件について寄稿している。シルビー・カウフマン(Sylvie Kaufmann)氏でタイトルは’The unbearable lightness of Holland'(オランド大統領の耐え難い軽さ)となっている。オランド大統領の私生活における不決断と経済政策の優柔不断とが重なって国民に映っており、唯一決断力を見せているのはアフリカにおける軍事介入だけであるという。現在、失業率は10.9%と高い。ドイツの2倍だと書かれている。そして、オランド大統領の支持率は30%以下で、歴代政権で最悪になっているようだ。オランド大統領はサルコジ大統領と違って、道徳的に模範になりますといったことを2012年の選挙戦で歌っていたことも、今回のスキャンダルでふっとんでしまった模様である。 
 
  フランスでは右翼が伸長しており、社会党政権がこのまま低支持率で終われば、2017年の次期大統領が右になることが噂されている。その候補にはサルコジ元大統領や国民戦線のマリーヌ・ルペン党首などが控えている。 
 
  通常ならフランス大統領のスキャンダルは報じないとしてきた伝統からはずれて、オランド大統領に厳しい視線が少なくとも英語圏から浴びせられている。英国とフランス(およびドイツ)では欧州連合の未来のあり方をめぐり、見解の食い違いがみられる。一方、フランスにおいては私生活は尊重されるべき、という考え方が強い。しかし、このようにいったんマスメディアで暴露されてしまうと、個人の内実がどうであれ政府の規律が緩んでいる印象を与えてしまう。 
 
 
■Closer誌 
http://www.closermag.fr/people/politique/francois-hollande-julie-gayet-cette-histoire-est-connue-par-beaucoup-de-monde-256867 
  ウィキペディアによると、英国、フランス、ドイツで出版されている週刊誌。フランス版は2005年から。2008年の約53万部をピークに販売部数はじり貧状態になっていたようだ。フランス版の出版は英国メディア企業グループによるものだったが、後にイタリアのベルルスコーニ氏の企業に買収されその傘下になっているようだ。 
 
■ルモンド紙は’Affaire Hollande-Gayet : les questions qui se posent’(オランド−ガイエ事件:沸き起こる疑問)とタイトルを打ち、この報道にまつわる謎について書いている。たとえばオランド大統領が密会に使った部屋の持ち主のことや、報道には政界ライバル(サルコジ元大統領)の意図があったのか、など。 
http://www.lemonde.fr/politique/article/2014/01/13/l-affaire-qui-destabilise-francois-hollande_4346989_823448.html 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。