2014年02月08日21時48分掲載
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スポーツ
ソチ・オリンピックの開会式
ロシアで開催されるソチオリンピックの開会式では選手入場に続いて、ロシアの歴史を舞踊でたどるショーが披露された。王政時代の社交ダンスなどは美しかったが、いささか定番すぎて退屈でもあった。俄然面白かったのは競技場に巨大な機関車が入って会場全体が照明で赤くなったあたりだ。
これはソ連時代を象徴するものだろう。労働者たちが巨大な歯車のもとでつるはしを手に働いているダンス。ソ連時代になると音楽もモダンでリズミカルに一変し、ダンスも独特の様式となる。会場には当時のソ連の文字デザインが再現され、当時の美学を再現した。この美学と音楽とダンスを見ると、経済システムや政治システムは破綻したにしても、その文化は未だに見栄えのするものと思われた。アメリカのジャズに匹敵するものだろう。スターリンに粛清された人々が生きていたら素晴らしい歴史が築かれていたかもしれない。そんな風に感じさせられた。
最後に、幼い女の子が宙に浮かんで登場し、手にしていた赤い大きな風船を手放してしまう。その赤い風船は夢のように空に消えて行ってしまうのだ。これはうまいエンディングである。その後の20年をやらなかったのは語る中身がない、ということか。これを見ると演出者たち(およびそれを指示したであろう政治権力者)のソ連時代へのノスタルジーが強く感じられた。
オバマ大統領、メルケル首相、キャメロン首相ともに現れなかったが、日本からは安倍首相が参加していた。ロシアの政治はともかく、民衆はホスピタリティを持つ人々である。ロシアと言えば冬のスポーツの印象があるが、ロシアで冬季大会が開かれるのは今回が初めてということだ。だからだろう、ロシア人たちはやる気満々に見えた。
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