2014年02月23日15時25分掲載
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核・原子力
福島第一原発汚染水 脱原発世論からも“命がけ”を強いられる現場労働者
19日夜、福島第一原発の貯蔵タンクから堰(せき)の外にあふれた汚染水は、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質(全ベータ)の濃度が1リットルあたり2億4000万ベクレルだったと東京電力は20日午後発表した。桁違いの濃度の汚染水の流出量は約100トン。今回の超高濃度汚染水漏れ事故の原因を人為的ミスとして作業員のせいにする「下手人探し」の動きが始まっている。その動きがどのような形で現れているか、現実に対策に当たる現場作業員はどんな気持ちに置かれているのか、その声を紹介する(大野和興)
作業員の仲間たちと状況の把握の情報交換をしました。
厳しい被ばくで対処するグループもあり、作業現場は予断が許されない状況です。
水が漏れる、電源がダウンする、ポンプが止まるetc. インシデントの積み重ねでアクシデントが発生した時、政府と世論の無惨な後押しで現場労働者は無理を強いられます。高線量の被ばくや、場合によっては「特攻部隊」が編成されます。
何らかのアクシデント発生時、遠く離れた場所に住む人々のチンケな不安解消の為に、作業員は無駄な大量被爆を強いられます。
願わくば、「早く対処しろ」という自分たちが作業しないことを前提とした他人任せの声ではなく、「作業員が無駄な被ばくをさせないで」と政府に声をあげて欲しいし、まだ被ばく労働の実態を知らぬ•知ろうともしない周囲の反原発運動の人々にも知らしめて欲しい。たとえ作業日程が長くなるとしても、「ユックリ、確実に、無駄な被ばくをさせない」という世論形成をしていくのが倫理的な筋だと考えます。
廃炉作業員と反原発運動の間には完全なる利害対立 があります。作業員も人間です。危険だったら逃げる権利も当然あります。自分が廃炉作業をやらないことが前提となっている「声」が作業員の肉体と生命を蝕 むことを常に意識しながら運動の展開をしなければ、単なる保守的住民運動に堕してしまいます。
社会的政治的マイノリティは不断に権利の主 張をし続けなければ、自らの尊厳と生存が脅かされ、奪われ続けます。マジョリティが当然のように享受している諸権利をマイノリティが得るためには、不当な ことではありますが「声を出し続ける」ことをしなければ得ることができないのです。関係性は対等ではないのです。
殺す側/殺される側 という分断線があることを認めること無しに「原子力帝国」の解体は出来ません。
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