2014年03月21日11時23分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】米国で始まった脱原発の動き(上) 急激に縮小する原子力開発計画 山崎久隆
米エネルギー省は、解体核兵器から取り出されたプルトニウムを燃やす「プルサーマル計画」を事実上断念した。世界で進行していた、プルトニウムを軽水炉で燃やすという計画は、これでフランス以外は商業規模では全部消滅した。もちろん、日本も現在、止まっている。福島第一原発震災が世界に与えた衝撃が巨大だが、米国においても大きな方針転換につながっている。
○米国プルサーマル終焉か
共同通信などが伝えているところでは、オバマ大統領は3月5日、核兵器級プルトニウムを混合酸化物燃料(MOX燃料)に加工する施設への予算を凍結し、事実上の計画断念を2015年度予算教書で発表した。
この施設は「混合酸化物燃料製造施設(MFFF)」と呼ばれ、サウスカロライナ州エイケンのサバンナ・リバーサイトに「ショー・アレバ・MOX燃料サービス社」が建設中だ。名前の通り、フランスのアレバ社との合弁企業で、施設はフランスのメロックス社製MOX燃料施設をベースに作られている。
米国では商業再処理は行われていないので、プルサーマル計画は唯一、解体核兵器の処分方法として2002年に計画された。
米ロのSTART(戦略兵器削減交渉)などにより保有できる核弾頭の数が大幅に削減され、それに伴って解体核兵器から取り出される、高濃縮ウランと核兵器級プルトニウムの処理方法について議論になった。
高濃縮ウランは天然ウランや劣化ウランと混ぜて希釈すれば、そのまま核燃料になるが、プルトニウムは、そのままでは燃やせる原子炉は存在しない。そこで米国では解体核プルトニウムの半分を天然ウランと混合してMOX燃料を作り、原発で燃やすことを計画した。
およそ34トン(その後25トンに減らされている)の核兵器級プルトニウムから年間3.5トン程度のMOX燃料を作る予定で2007年に施設の建設は始まっていた。当初の完成予定は2016年、それが大幅に遅れ現時点までの進捗は60%で操業開始も2019年と先送りにされていた。(下につづく)
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