2014年03月24日22時41分掲載  無料記事
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欧州

移民の多い町マルセイユで社会党大敗 右翼政党・国民戦線が社会党の地盤を揺るがす

  23日に行われたフランス地方選、ルモンドによると、注目の選挙区、マルセイユ市では開票の結果、社会党の地盤だった北部の第七連合区で右翼政党の国民戦線がトップとなり、社会党の勢力が大きく後退している傾向が明らかになった。人口80数万人のマルセイユ市には行政区分として8つの連合区(secteur)があるが、第七連合区は人口が最も多い地区である。一方、マルセイユ市の南部はサルコジ大統領の属する国民運動連合がおさえている。 
http://www.lemonde.fr/municipales/article/2014/03/24/en-difficulte-a-marseille-mennucci-appelle-a-un-sursaut-cette-semaine_4388426_1828682.html 
  移民が多数を占める南部の都市、マルセイユはかつては社会党と共産党の手堅い地盤だった。しかし、のちに市の南部に国民運動連合が進出。社会党はムスリム系住民が多い北部に勢力を守ってきた。ところが、今回の地方選の第一回投票で、その基盤である北部の第七連合区に治安回復を掲げる右翼政党の国民戦線が躍進し、首位に立っている。もし、このまま決選投票で覆せなければ社会党の勢力は半減することになるだろう。 
 
  国民戦線が浮上している要因はいくつもあるが、1つには社会党と国民運動連合に不満を持つ人々の中に一度は国民戦線にやらせてみたい、と考える人々が少なくないことだ。既存の政党に対する不満によって国民戦線に風が吹いていると言えそうである。 
 
  国民戦線がマルセイユ市の選挙管理委員会に提出した第七連合区の候補者リストの筆頭がステファン・ラビエ候補、国民戦線マルセイユ支部長だ。このラビエ氏で選挙に勝てると見込んだマリーヌ・ルペン党首は手厚く支援し、しばしばツーショットでマスメディアに写真を撮らせている。そうしたこともあってか、ラビエ氏は昨年9月のマルセイユでの政治集会「夏期大学」以来、メディアでの露出度が全国的にもダントツに高い。だから第一回選挙で高い得票率を得るだろうことはおり込み済みでもあった。 
 
  ただし、前回の記事でも触れたが、国民戦線は決選投票になると弱い傾向があった。そこでマリーヌ・ルペン党首が先代の父親ジャン=マリー・ルペン時代に行っていた極端な主張を控え、大衆に受け入れられようとソフト路線に舵を切ってきた。果たして次の日曜の決選投票でどう出るか?2012年の国会議員選(下院選)に立候補したラビエ氏は第一回投票で社会党候補を僅差ながら破り得票率で首位に立っていた。しかし、翌週行われた決選投票で社会党の候補者が逆転を果たしている。そんなこともあって、右翼政党の国民戦線が本当に躍進するのかどうか、30日の決選投票が注目される。 


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