2014年05月26日13時51分掲載
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核・原子力
『美味しんぼ』—鼻血論争—その3 落合栄一郎
この欄に、アメリカの専門家と称する人の見解が、科学的を標榜して掲載されました( http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201405211107233)。もちろん、様々な意見があっても当然なのでしょうが、こうした専門家による「科学的」と称する論は、おそらく、多くの人に、真実と捉えられるものと思います。これは、現在の科学の、最前線ですら、十分な科学的態度で検討されていないことの良い例にすぎません。その点の簡単な反論は、私の「美味しんぼ」−鼻血論争—その2(日刊ベリタ、2014.05.17)に書きましたので、上の議論と比較して、判断をお願いします。
私は、正直なところ、放射能の生体への影響の専門家ではありません。おそらく、そんな人間のいうことが信用できるのかと、お考えになるでしょう。しかし、放射能の生体との関わりを、素人の科学者が、論理的に、科学的態度で、いわゆる専門家が考慮していない事柄も考慮に入れて総括的に検討すると、こういうことになるという議論です 。実際、専門家なる人達の考えの多くは、非常に限られた狭いものの見方からしかなされていないのを残念に思います。
さて、私の議論の簡単な纏めが、「原爆と原発」(鹿砦社、2012)と最近の「人体と放射能:細胞・分子レベルからみた放射線被爆」(講談社、2014)です。これでは、鼻血の問題そのものは直接には扱っていません。より一般的に、内部被曝の機構を考えています。ご参照ください。
ところで、こうした議論はさておき、現実はどうなのか、鼻血などは、出ていないというのは本当なのか。OurPlanet-TVの最近の動画 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node%2F1785を是非ご覧ください。これには、母親や先生達がその経験(子供達の鼻血も含めて、様々な障害の現実)を切々と語っています。こういった体験談がウソであるとは、とても考えられないでしょう。そして、これらの経験談から、はっきりしてきた事は、こうした現象(鼻血その他)が、福島事故後に現れたことです。これらの母親達が表明しているように、今回の鼻血論争で、環境大臣/首相までもが、出版社に抗議するというような異常事態は、こうした市民の真実を語る声を押しつぶす企てであり、放射能の安全神話を押しつけ、脱原発の動きを圧殺する動きです。
なお、今日の朝日新聞によれば、先に日本市民から募集した「エネ計画のパブリックコメント」の結果は、応募者の9割超が、「脱原発」であったのに、それを政府は、伏せていたのだそうです。そして、伏せておいて、原発を基幹エネルギーの一部にするなどという政策をうちだした。そのためには、放射能との共存を日本市民に納得させなければならない。そのためには、このくらいの低線量は健康に影響はないのですよと主張し続けなければならない。今回の鼻血論争は、こうして、日本国民の大多数が反対する原発推進という政府の政策を、更に明らかにしたことになる。
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