2014年06月04日11時24分掲載
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国際
シリアの戦闘に参加する欧州イスラム教徒 欧州のジレンマ
フランスの国籍で、シリアの反政府勢力に参加して戦闘をしているイスラム教徒は700人を超えるとフランス政府は発表している。ニューヨークタイムズによると、フランス政府官憲はそうしたフランス国内の聖戦主義者でシリアへ行こうとする者をフランス国内にいる間に、未遂として逮捕している。今年1月には若いイスラム教徒3人が捕まったと報じられた。フランス政府は中東やアフリカで「聖戦」に参加して欧州に帰国したイスラム教徒が欧州内部でテロ活動を始めることを強く警戒している。実際に、そうしたケースも何例か起きている。
ニューヨークタイムズの報道では現在、シリアで反アサド勢力として戦闘に参加している外国人兵士は11000人。そのうち、およそ2000人が欧州から駆け付けている。フランスからは400〜500人だという。これはInternational Center for the Study of Radicalisation at King's Colledge Londonを指揮するPeter Newmann氏の見積もりだそうだ。一方、フランソワ・オランド大統領はフランスから参加している兵士は700人だとしているようだ。フランスではテロ対策として、テロの実行以前でも逮捕できるように法律が改正されているようである。こうした若者の環境は近年の不況で悪化していると説明されている。
今、フランスのマルセイユでは完成すればフランス最大規模となるモスクの建造計画がある。その工事費用としてカタールやマグレブ地方のイスラム国から募金を集めている。そして、これらの動きに対して右翼政党の国民戦線がモスク建造反対を打ちだしている。モスクはイスラム教徒にとっては心の安らぎの場となるはずだが、非イスラム教徒の中にはテロリズムの温床となるのではないかという疑いを持つ人もいる。
なんとも大雑把な数字で恐縮ながら、不況のフランスで一般市民の失業率は10%、イスラム系移民の失業率は20%、イスラム系の若者の失業率は30%という言葉がある。いくらテロの未遂で逮捕したところで対症療法に過ぎず、結局、イスラム教徒の若者が誇りを持って生活できる環境を作り出さなくてはフランスの未来は暗いものとなるだろう。
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